2011年6月24日金曜日

被災地のヒーローは(なんと)政治家!

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● ボランティア現場.JPG
台風が近付くなか、重機を使って作業をこなす「はまセン」ボランティア(5月30日)




Newsweek 2011年06月17日(金)15時53分
http://www.newsweekjapan.jp/newsroom/2011/06/post-224.php

被災地のヒーローは(なんと)政治家!

永田町に幻滅している全国の皆様。
お気持ちお察しいたします。
被災地の中でも特に3月11日から時が止まったままの地域を目の当たりにすると、政治家に対する怒りは膨らむばかり。
被災地には
「最後はオカミが何とかしてくれる」
という希望を捨てないお年寄りもいるというのに、彼らの期待に応えられる政治家は、一体どこにいるのか。

――と、もはや怒る気力さえ失くしていたら、先日なんと、(やっと)出会ってしまった。
被災地をほったらかしにして政局に明け暮れる多くの政治家たちとは、似ても似つかぬ「政治家」に!

彼の名は、川上哲也(48)。
本職は「岐阜県議会議員」(無所属)だが、
「NPO法人岐阜県災害ボランティアコーディネーター協議会理事長」
という肩書きを併せ持つ。
そして、どうやら最近は後者が本職になりつつあるようだ。
何しろ4月20日に気仙沼市に「小泉浜災害ボランティアセンター」、通称「はまセン」を立ち上げ、それ以降2カ月近くも現地に滞在しながらボラセンの指揮を執っているという、異色の政治家なのだから。

川上は、初めて話したときから型破りな人物だった。
川上が運営している「はまセン」のHPを見ると、社会福祉協議会が運営している通常のボラセンではあり得ないような文句
――チェンソーが扱えるボランティア、家屋解体ボランティア募集、朝昼夕食付き、お風呂入れます、などなど
――が盛りだくさん。
GW中も募集制限は一切なく、HPに「ボランティア大募集!!」というビッグな赤字が踊っている。

HP上に公開されていた川上の携帯に電話し、取材に行きたいと言うと
「ご飯も寝るところもお風呂もありますから、心配なくいらしてください。その日は『はまセン』でボランティア同士が結婚式を挙げるんです。お待ちしてます~」
と、どこまでも政治家らしからぬフランクさ。
一体どんなボラセンなんだ、と疑問符をたくさん抱えながら、ついに先月末行ってきた。

● 川上.JPG
川上哲也(ビニールテントの中に作ったという仮設風呂の前で)

「はまセン」は、津波にのまれて道がなくなり、もはやカーナビが役に立たなくなった宮城県気仙沼市沿岸部の小高い丘の上にあった。
気仙沼市本吉町小泉の浜区という小さな集落に残された浜区多目的集会所を、「避難所」兼「はまセン」として使っているという。

先月末に訪れた「はまセン」は、電気が通ったのは4日前、水道はまだ使えず断水中という状態だった。
そんなまだまだ大変な被災地で3食風呂付、結婚式もやるから泊まっていけという川上とは、一体どんな人物なのか。

小雨が降るなか、「はまセン」の外でビニール傘を持った川上から渡されたのは、「県議」ではなく「NPO理事長」の名刺だった。
電話と同じく偉ぶったところは1つもなく、なんだかはちまきが似合いそうな応援団長といった雰囲気。
そんな彼が「こちらが寝るところです」と案内してくれたのは、避難所の一画だ。
避難所内の仕切りのない1室で、ボランティアと避難者、そして川上までもが布団や寝袋を並べて毎日寝泊りしているという(ボランティアはテントの持込も可)。
避難者とボランティアと政治家が、1日といわず1カ月以上も生活空間を共にする
――普通に考えればとんでもなくレアな体験だが、ボランティアや避難者は川上を政治家とは見ていない様子。
川上はそれくらい現地に溶け込んでいた。

「はまセン」はこれまで、制限を設けずに延べ約8000人のボランティアを受け入れ、約170世帯中90世帯が倒壊したこの集落で「全世帯対応」というやり方を続けてきた。
全世帯対応とは、通常のボラセンのように
「被災者から依頼されてからその世帯に出向く」
という形ではなく、
「今日はこの地区を片付けます」
と発信し、「来ないで」という人だけに手を挙げてもらう仕組み。
被災者が「依頼する」、ボランティアが「依頼を待つ」というプロセスを省くため、ボランティアが余ることはないしニーズは常に存在する。

ボランティアの内容も、瓦礫撤去や泥出しだけに留まらない。
倒れているヒノキの大木をチェンソーで切り、ユニックで大木を吊り上げて軽トラックで集積所まで運ぶといった作業もこなす。
ボランティアが業者さながらの働きをするため、とにかく作業スピードが速い。
こうしたやり方で浜地区は一気に片付き、取材に行った時点で活動エリアの作業はほぼ終了していた。

そんなボランティアに対して、地元住民の信頼は厚い。
ボランティアと避難者は、避難所の台所や、屋外に設置された仮設トイレ、川上らが手づくりで作った風呂などを共有している。
避難所にボラセンを立ち上げることについて誰かの許可を取ったのかと聞くと、川上と地元代表の気仙沼中央公民館副館長、及川正男は顔を見合わせ、「そういえば取ってないね~」と苦笑。
政治家なのに「手続き」無視か、と(肯定的な)ツッコミを入れたくもなるのだが、そこは及川が
「市は黙認してくれているんじゃないか」
とフォローする。

こうしたやり方が成り立つのは、「はまセン」の運営が「こうあるべき」という机上の空論ではなく実利に基づいているからだろう。
避難者用の食事は地元住民が作り、ボランティアの食事はボランティアが作るというが、食材は「共有」することもある。
避難所に届く食材をボランティアが食べるとは「けしからん」ことにように思えるが、避難所には避難者数の食材が届き、ボランティアも食材を持ち込んだ結果、日持ちしない生ものなどはどうしても余る。
何より、避難者の誰に聞いても、生活すべてをボランティアと共有することに「まったく抵抗ない」とあっけらかんとした答えが返ってくる。
むしろ、ボランティアがいなくなったら「寂しくなるね~」という声をいくつも聞いた。
ここでは、避難者はボランティアを「支援者」というより、復興に向けた「仲間」と見ているようだ。

それでも、どんなにすばらしい活動をしていても、政治家と聞けば「何か裏があるのでは」と疑ってしまうのが記者の習性だ。
いくら岐阜県議と言え、この遠い気仙沼の地に何かしらの利権があるのではないか――。

だが、そんな疑念の裏は取れなかった。
そもそも、川上がこの場所に「はまセン」を立ち上げたのは全くの偶然だ。
これまでに中国四川大地震や中越地震など国内外で災害ボランティア活動を行ってきた川上は、3月11日の夜に岐阜を出発。
被災地をいくつか回った後、避難所となったこの浜区多目的集会所を訪れると支援の手が全く届いていなかった。
住民が「いつもここは後回し」と諦める姿を見て、この場所を支援の拠点にしようと決めたという。

「はまセン」の運営資金は、スタッフの人件費がないためそれほどかからない。
仮設風呂のボイラーなどは地元である岐阜県高山市から持ってきたし、大きな買い物はテント2針程度。
HP上で寄付も募っているが、一番実入りがいいのは「はまセン」に設置した募金箱だという。
5月末の時点でボランティアなどからの義援金約200万円が集まったが、余ったカネはもちろん「この場所に寄付して帰る」。

取材に訪れたこの日、「はまセン」ではボランティア同士の結婚式が執り行われた。
静岡県出身の男女2人が「はまセン」で長期に渡って活動するうち、避難者も毎日参加しているミーティング中に「ここで結婚式挙げたら?」という声が上がり、挙式を決めたという。
地元住民がすべて揃えてくれたというドレスとタキシードに身を包み、新郎新婦は「はまセン」に集まった大勢の被災者とボランティアを証人にして人前式を挙げた。
地元住民が20年前に使ったというブーケと手づくりのティアラを身につけた新婦(32)は、この場所で結婚式を挙げていいものか迷ったというが、地元の住民からの
「ここで結婚式を挙げることで支援の手が増えてくれたら」
という言葉で決意したという。

浸水した民家で行われた披露宴には、避難所から仮設住宅に移ったという三浦安昭(81)も駆け付けた。
「ボランティアって言葉は聞いたことはあったけど、こんな大きな輪になってやってくれるとは思ってもみなかった。
この場所を第2の人生の出発点に選んでくれて、嬉しいねぇ」
と顔をほころばせた。
避難所で生活する小野寺うめ子(85)は、
「結婚式なんて久しぶりに見た。
これもボランティアのおかげ。
ボランティアがいなくなったら寂しくなる」
という。
この、被災者主催の異色の結婚式で仲人を務めたのは――やはり川上だった。

● 結婚式.JPG
地元住民から祝福されるボランティアの新郎新婦。左が川上

被災者から「あの人はすごい人」「あの人のおかげ」と感謝と尊敬の念を集める川上。
「はまセン」を5月29日に閉める予定だったが、住民の要請で6月12日まで活動期間を延ばした。
「県議なのに地元を離れていて大丈夫なのか」と聞くと、「いやぁ、ダメでしょう」と苦笑い。
「これ以上は延ばさないのか」というこちらの質問に、「もう延ばしません」と言い切っていた川上だが、被災者の声は無視できなかったらしい。
閉所を目前にしていた6月9日、南三陸町歌津町名足地域から「名足も小泉浜のようにきれいにして欲しい」という要請を受けて、6月26日まで「はまセン」の活動を延長することにしたという。

後で知ったのだが、実は4月10日には岐阜県で県議会選挙が行われていた。
にも関わらず、川上が選挙の準備で地元に帰ったのは3月末の4日間だけだというから驚きだ(結果は無投票当選)。
選挙より政局より、市民の声を聞く――国会議員と県会議員で違いがあるとはいえ、本来ならば川上の姿勢こそ「政治家らしい政治家」のあるべき姿のはず。
誰か彼に続く人物はいないのだろうか。

――編集部・小暮聡子


こういうボランテイアセンターがあったとはまるで知らなかった。
もう少し早く分かったらささやかな応援をさせてもらったのにと思う。
この『はまセン』のホームページを見てみる。


『はまセン』 気仙沼市小泉浜災害ボランティアセンター
気仙沼市本吉町の小泉浜を支援する災害ボランティアセンターです。
 愛称は『はまセン』。 多くの皆さまのご参加をお願いします。
http://hamacen.hida-ch.com/e312531.html

『はまセン』ラストスパート!!

南三陸町の名足地域や気仙沼市内の隣接エリアから活動リクエストがあったため、活動期間を急遽延長!!
『はまセン』は6月26日まで元気に活動します。

全国から駆け付けて頂いたボランティアの皆さま、小泉浜の皆さま、ご支援ご協力本当にありがとうございます。

【活動の経過とお願い】
3月22日に初めて気仙沼を訪れ、小泉浜にある「浜区避難所」の支援活動を開始しました。
当時は、旧本吉町のはずれにある小さな集落には支援も殆ど届いていない状態で、
「わしらの生活は、本当に元に戻るのか」
と涙を流しながら問いかけてみえた方もありました。

物資を運び、避難所に断熱シートを敷き、1,000リットルのお風呂を2ヶ所作り、洗濯機を設置し、炊き出しを行い、医師・歯科医師・薬剤師の医療支援、美容師によるカットなどなど…。
しかしこの間、がれきを除去するボランティアの姿は全く見えませんでした。

地域の中をまわると、「3時20分~25分」を指したまま止まっている時計がいくつもあり、がれきの山は1ヶ月経っても「最初訪れた時のまま」。
小泉浜の『時』が止まってしまっていたようにも感じられました。

さらに、地域の方からは
「ここは、いつでも一番最後になる地域だからね。」
という諦めにも近い言葉が…。

小泉浜の「時」を動かそうと、避難所の責任者や振興会長さんにも相談し、立ち上げることとしたのが「小泉浜災害ボランティアセンター」。
通称『はまセン』
4月20日からボランティアの受入れを開始し、地域の皆さまにも様々な形でご協力を頂きました。
避難所施設の間借りだけではなく、駐車場用地・テントサイト用地のご協力、お風呂の共同使用、ボランティア用宿泊施設のご協力などなど…。
朝と夕方には地域皆さんの全体ミーティングに参加させて頂き、お風呂に一緒に入らせて頂いて、地域の皆さんがいつも「顔の見えるところ」で協力してくださいました。

それだけご協力頂いているため、
「被災された方・地域からのニーズに100%お応えする」
を目指し、
これまで立ち上げたボランティアセンターではタブー視されていた
「チェンソー・ユンボー(重機)・ユニック・高所作業」
などを積極的に取り入れ、活動を進めさせて頂きました。

今、全国から集まってくださったボランティアの活動を見て、地域の方からは、
「ボランティアさんに勇気をもらったよ。もう一度漁船を買って頑張るよ。」
という声や、地域の役員会でも、
「仮設住宅への入居で地域がバラバラになりかけているけど、ボランティアさんにどこよりも早くこんなに立派に(きれいに)してもらったんだから、今度は自分達が気持ちを一つにして地域を良くしていかねばなんねぇっぺ。」
という声が次々出されるようになりました。
震災で止まっていた「小泉浜の時」が動き始めたように感じています。

これも全て、全国から駆け付けてくださったボランティアの皆さま、地域の皆さまのご協力のおかげです。
本当にありがとうございました。

『はまセン』の、「小泉浜地域に対する支援活動」はもうすぐ「完了」しようとしています…が、被災された方の「災害の爪あととの闘い」は長く長く続きます。
全国の皆さま、引き続きのご支援ご協力を宜しくお願い申し上げます。

そして、6月9日、
閉所式を目前にしていたのですが、南三陸町歌津町名足地域の区長さん、会長さんから支援要請を頂きました。
また、気仙沼市内の隣接エリアからも追加ニーズを頂きました。
『はまセン』は26日まで頑張ります!!

『はまセン』気仙沼市小泉浜災害ボランティアセンター
代表 川上哲也


今後の日程はカテゴリの「日程」をご覧ください。
本日も、『はまセン』は元気に活動しています!!

『はまセン』はリピーター率の高いボランティアセンターですので、安心して参加できます!!

ツイッター:@hamacen

「はまセン」は、個人・団体、性別、年齢、県内外等問わずボランティアを大募集!!
「活動」は必ず見つかります!!
宿泊(テント)、食事、駐車場、洗濯機、全て完備!!
是非「はまセン」の活動にご参加ください。
活動期間延長!!
『はまセン』は、6月26日(日)まで
ボランティア大募集!!
1時間でもかまいません。
『はまセン』の活動に参加してください!!

急募!! ユンボー
急募!! ダンプ
高所作業ができるボランティア
がれき処理ボランティア

被災された方に贈る「軽トラ(中古も可)」も大募集
・ガレキ運搬ボランティア
・家屋(屋根等)解体ボランティア
・チェンソーが扱えるボランティア
・調理ボランティア
・家屋内片付けボランティア
・避難所のお手伝いボランティア
それぞれ大募集!!


アクセス:土日の午前中は「GW中及び土日のアクセス」の通りにお越し頂けば、東北自動車道以外は現地まで渋滞していません。
ボランティアの寄書き(毎日書いて頂き、避難所内に貼っています)

これまでに、延べ約10,000名のボランティアさんが汗を流しました。
お風呂に入れるようになり、みるみる間に地域の姿が変わり、地域の皆さんからは「喜びの声」が多数届いています。

「生きる勇気を失っていたけど、ボランティアのおかげで生きる勇気をもらえました。」
という手紙も頂きました。

これも全て、活動に参加してくださった全ての皆さまのおかげです。
本当にありがとうございます。

…と同時に、新しい依頼も続々と入っています。
まだまだボランティアを必要としています。

『はまセン』は6月26日まで毎日、ボランティアを大募集!!
「本当に仕事はあるんですか?」というお問合せもありますが、作業は最終日まで必ずありますので、「作業の有無」については確認無しでお越しください。
事前予約は要りません。
個人・団体全て受入れますが、バスでお越しの場合は事前にご連絡ください。
駐車場、テントサイト完備!! 
朝昼夕食も食べることができ、洗濯もでき、なんと、毎日お風呂にも入れます。(大好評!!)

全国の皆さま、被災地の涙を減らし、笑顔を増やすため、是非『はまセン』の活動にご参加ください!!

被災者&ボランティア用お風呂の燃料(灯油)代、発電機用ガソリン代、資器材購入費などの資金が不足しています。
どうかご協力を宜しくお願いします。

口座:仙台銀行津谷支店
普1944841
はまセン

『はまセン』は気仙沼市の南端、「小泉浜区」の支援活動を中心に行う災害ボランティアセンターです。
JRは復旧のめどが立たず、バスもまだ非常に不便な状況のため、ボランティアによる支援が届き難い地域となっています。
これまでに延べ約10,000人以上のボランティアが活動しました…が、近隣地域からも依頼があったため、まだまだまだまだまだ作業があります。

住所:気仙沼市本吉町今朝磯58
活動時間:9時~16時(活動現場が近いため午後も受付けしています)
※個人でも団体でも受付けしています。
※事前登録は必要ありません。
※男女、年齢問いません。

アクセス:三陸自動車道「登米東和IC」から約30km(詳しくは「はまセンへのアクセス」をご覧ください)
土日の午前中は「アクセス」の中の「GW・土日のアクセス」をご覧ください。

ルート概要(下記をクリックしてください)
http://maps.google.co.jp/maps/ms?hl=ja&ie=UTF8&vps=2&jsv=334b&brcurrent=h3,0x5f8892ddfbe0dc71:0xce6fb9385107a4ad&oe=UTF8&msa=0&msid=205426376973723975842.0004a211a5c5bd6af0535

お問合せ:またはホームページ右上の「お問合せ」でメールをお送りください。




 
『はまセン』参加者の写真
http://hamaho.hida-ch.com/






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