_
● 朝鮮日報より(上の表:人口数字が間違っている)
『
朝鮮日報 : 2011/06/05 11:58:49
http://www.chosunonline.com/news/20110605000024
【熊野英生の日本通信】人口問題と賃金上昇率
ひとつの質問をしたい。
人口が減っていくと賃金は上昇するか、それとも下落するのか。
日本では、その答えが時代によって反対に変わってしまった。
1990年に日本経済がバブル景気を楽しんでいた時代は、人口が減ると賃金は上昇するという答えが模範的な回答であった。
なぜならば、人口減少と同時に労働力人口も減少するから、労働供給が減って賃金は上昇すると考えるからだ。
経済学で習う
「供給が減ると価格は上昇する」
という基本中の基本の考え方だ。
しかし、現在、以前の常識を持ち続ける人は、現実離れした経済学の教義を信じる経済学者くらいしか居ない。
企業経営者のほとんどは、
人口が減ると需要も減ってしまい、賃金が下落すると考えている。
2010年のベストセラー経済書籍になった
「デフレの正体--経済は『人口の波』で動く--」(藻谷浩介著)
は、物価下落・賃金下落は人口減少で説明できるという新常識が声高に語られた本である。
こうした書籍が売れたことは、多くの人が、2008年から始まった人口減少に加速感がつき、本格的な人口減少社会が到来したことを不安に思っている社会心理を反映している。
よく考えると、人口減少によって個人消費の総額が減ってしまい、総需要は減少して賃金も下落するという、
「需要が減って価格が下落する」
というのも、また経済学の基本中の基本の原理である。
不思議なのは、新しい賃金下落説も、昔の賃金上昇説も、同じ経済学のメカニズムを使っているところである。
需給バランスの変化を根拠にして、人口減少を説明されているのに、
導き出される結論が正反対になる
のはおかしなことである。
筆者なりにその矛盾を説明すると、人口減少が労働供給を減らすと同時に、労働需要も減らす効果を持つからだ。
2つの作用のどちらを強調するかで、賃金上昇と賃金下落の結論が変わってくる。
価格メカニズムの盲点がそこにはある。
筆者の理解では、人口減少の効果は労働供給減よりも、労働需要減の作用の方が大きく、その結果、賃金が下がるとみる。
もう少し詳しく説明すると、これまで登場していない設備投資の役割も重要である。
人口が減少する未来が予想されているとき、企業経営者は国内売上が将来は減っていくと予想して、設備投資を増やすことに慎重になる。
設備投資の意思決定は、未来を先取りして行われ、それが現在の需要を大きく押し下げる。
仮に、将来の労働力不足を企業行動が先取りするとすれば、日本国内で労働力を確保しにくくなるので、海外に工場を設立して日本に製品を逆輸入しようという判断に結びつく。
そうすると、産業空洞化が進んで、やはり賃金は下がる。
企業経営者の予想が労働需給にどう表れるかをよく読み解きながら、供給と需要の変化を比較しなくては賃金の未来予想はできない。
■賃金下落は運命論ではない
ここまでの説明は、人口が減少すると、そこで賃金下落の作用が生じるというメカニズムを主に扱ってきた。
韓国の人口増加率も、2005年くらいから極端に低くなっている。
先行きは、日本と同じようにマイナスに転じる可能性がある。
ちょうど90年代後半に日本の人口増加率が鈍化したことを振り返って、現在の韓国の人口が13~15年前の日本の状態によく似ている。
韓国でも、10数年先には日本と同じような物価・賃金の下落が恒常的に起こるようなことが起こり得るかもしれない。
もうすでに、ここ数年の韓国の実質賃金下落は、そうした流れを反映している面があるのかもしれない。
もう少し厳密な話をすると、筆者は、
「人口減少が賃金下落を引き起こす」
という作用があっても、それが賃金行動を完全に支配する運命であると考えている訳ではない。
そうではない未来もある。
それは、人口が減少しても、国内企業が輸出拡大を目指して設備投資を増やし、正社員の雇用を活発化させるケースである。
輸出中心に国内雇用が増えれば、賃金は上昇する。
人口減少がそのまま国内需要の減少にならないようにするには、海外の需要増を輸出拡大を通じて国内に取り込んで、需給バランスを需要超過に導くことである。
日本では、製造業がグローバルに事業展開する時代になって、国内投資を増やすよりも、中国・タイ・ベトナムへの工場立地にすることを優先するようになった。
そうした影響もあり、日本企業の設備投資残高(資本ストック残高)は、史上初めて2009年末にマイナスになった。
これに驚いた政府は、最近になって法人税を減税したり、貿易自由化を一気に進めようとTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を主張するなど、具体的な対処を進めようという政策的な議論が巻き起こっている。
しかし、政治的にみると、産業空洞化に対抗する政策論は、企業優遇に反対したり、農業保護を主張する政治勢力がまだ強い力を持っているので、なかなか前に進めない。
日本では、経済衰退を合理的な制度設計で回避する勢力と、近視眼的な経済利害にしがみつく勢力が水面下で戦っているのが実情である。
熊野英生=第一生命経済研究所首席エコノミスト
』
ほう!
私は日本の経済学者とか経済新聞の説をまったく信用していない。
この時期、すなわち日本の歴史からみた状況時に「経済成長」を唱えるなんてバカとしか思えないと思っているくらいである。
かれらの説はせいぜいのところ近代経済学をベースにした苔むした過去のシロモノか、あるいはコンピュータを使ったリスク分散のエコノミック・エンジニアリングといったへんてこな名前(経済が工学であるはずがない)のマーケット賭博マニュアルのいずれかと思っている。
『
amazon.com
内容紹介
「生産性の上昇で成長維持」というマクロ論者の掛け声ほど愚かに聞こえるものはない。
現実は内需にマイナスに働いているからだ。
「現役世代人口の減少」、日本の問題はここにある!誤った常識を事実で徹底的に排す!!
日本最大の問題は
「二千年に一度の人口の波」
だ。
「景気さえ良くなれば大丈夫」という妄想が日本をダメにした。
これが新常識、日本経済の真実。
』
「二千年に一度の人口の波」とあるが、二千年前に人口の波があったとは論証できないから、
日本史上はじめての「人口の波」
ということになる。
人口が減るということは、人口が増えたからである。
ということは、急激な人口増加が高度成長というものをもたらしたわけで、とすれば急激な人口減少は高度停滞をもたらしてもいいわけである。
歴史といっても詰まるところは人間の営み。
常にある範囲のウエーブに収まっている。
増加すれば減少し、
成長すれば停滞が起こり、停滞が起こったら成長が起こる
わけである。
そのスパンは半世紀あるいは2/3世紀といった形で動いていくのが歴史である。
成長期の経済学で、停滞期を論じても何もならない。
この本、そのことに対する一つのトリガーを仕掛けているかもしれない。
2050年には人口は一憶人を切ると言われている。
つまり、あとたった40年で、人口は2割も減る。
急激な人口増加は、急激な人口減少をもたらす。
あたりまえのことが、あたりまえに起こっているだけ。
増えすぎたから減るというわけである。
さらに30年後の
2080年には戦前水準の8千5百万人ほどになり、そのあたりで静止する
といわれている。
ということは、
2/3世紀で急激な人口増加をし、そしてまた2/3世紀で急激な人口減少をする
ということになる。
いわば正常なウエーブである。
そのウエーブをみながら論じていかない限り、実りある説は出てこない。
人口増加時の経済理論で人口減少時の経済を説明しても正解はない。
ただ、言葉の遊びになるだけ。
昨今の経済学者は言葉の遊びでメシを食っているから、これも生活の一部だと考えれば納得もいく。
いにしえには田植えと稲刈りは家族総出でやったものである。
しかし今はサンちゃんでも十分できる。
というより、昔より遙かな生産量を上げることができる。
なぜか。
農機具の発展と品種改良。
工業生産にもそれが起きている。
昔は工場は人が溢れていた。
いまは、人手を借りずに自動的に生産が行われる。
つまり、大量に生産され、それも昔から比べると大幅に安く造られる。
よってモノが安く巷に流れ出ていく。
工場はロボット化され人を雇わない。
同じように事務系もコンピュータがやってくれてる。
とすれば職を持つ人は少なくなり、失業者が溢れる。
ただし、名前を変えてニートとかヒキコモリと言われるようになる。
経済とやらが成長がすればするほど、モノの値段は下がり、失業者もどきが増えることになり、賃金が低下する。
これが「デフレ」。
経済が成長すればするほどデフレになっていく。
あたりまえのこと。
経済成長した後の経済成長ではデフレしか出てこないということ。
絶対に、インフレにはならないということ。
モノは作れば作るほど安くなっていく。
よってデフレが嫌だったら、経済成長を止めることが肝要になる。
それがいやっだたら、
人口を経済に見合う数に削減していくこと
である。
人口が経済に見合う数に減るまで、デフレと賃金下落は続く。
モノの値段は生産コストに占める原料価格に限りなく近づいていく。
これがデフレの姿である。
そこにおける人間ファクターの影は極めて薄い。
人間ファクターの色合いを深めようと「付加価値」という項目に意を注ぐことになる。
「付加価値」とはすなわち、モノの価格は安価ですよ、という旗印だ
ということである。
付加価値にからめられない人間は、余り人間になるほどにモノは溢れているということである。
将来にわたって、若者は失業者予備軍として過ごしていくことになる。
それを回避する方法は?
「ない!」
経済を経済で立てなおそうとするかぎり、理論的にない。
景気回復を前面に押し出すかぎり、それはない。
モノが安価であるかぎり、モノは救い手にはならない、
というのは当たり前のこと。
それを納得しない限り、前には進めない。
あるとしたら、モノから知への価値の転換しか残っていない。
経済成長とはモノをベースにしている考え方である。
『
書評空間 2010年09月29日
http://booklog.kinokuniya.co.jp/masaishii/archives/2010/09/post_115.html
『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』藻谷浩介(角川書店)
デフレの正体 経済は「人口の波」で動く
「急激な人口減少が、経済を動かしていく」
少子化と高齢化が進行する日本。
この二つの現象をひとくくりにして「少子高齢化」と言われる。
決まり文句になっているが、これはまったく別の現象を、ひとまとめにしている。
意味が曖昧になってしまい、いま日本社会で進行している現象を見誤る。
現実は「消費者人口の減少」「労働者人口の減少」そして同時に進行する「高齢者の激増」であり「少子化の進行」だ
しかもそのスピードが速い。
異常に速い。
高齢者が激増しているために、お金があっても消費に回らない。
90年代後半から消費の伸びなやみが、多くの産業で起きていたのは、人口の高齢化が原因だ。
日本社会はこのことに正面から向き合ってあってこなかった。
著者は、これらの事実を、政府が公開している統計データと、日本中の自治体を自分の目で観察した結果をつきあわせて導き出している。
ビジネス書などは年間数冊くらいしか読まないという人である。
前半は、「生産人口減少」と「高齢者の激増」による日本社会の変化を書いている。
読む人によっては、鬱になる。
悲観的な経済予測になるからだ。
後半は、これに対する処方箋を説く。
後半の記述は、ブロガーの小飼弾さんのベーシックインカム論と酷似している。
これは偶然の一致ではない。
老人が若者を搾取する経済構造
を変えて、若者が希望をもって働く社会にする。
これが経済の活性化となるからだ。
若い世代が安心して子どもを産み、育てるためには、高齢者から若者世代への所得移転が必要だ。
しかもできるだけ速く。
人口減少社会においては、生産性の向上による好況もありえない。
高齢者は激増しており、その当事者たちは将来の健康不安のために蓄財して贅沢な消費はしないからだ。
いまの日本の産業の根幹になっている製造業で復活しようにも、円高と高い人件費のために、国内でモノをつくっても海外市場での競争力は維持できない。
若者を厚遇するしかない、
と著者は説く。
不況でそんなことはできない!
という声が経営者から上がるだろうが、断行しなければ、ますます不況になる。
若者にお金がないと、消費が増えない。
消費が増えないと国内の産業は成長しない、子どもも産まない。
内需拡大とは、若者に所得を移転することなのだ。
海外で戦える産業を育成し、外貨を稼いでも、いまの日本ではカネが循環していない。
国内では、高齢者はお金をつかわず、若者たちは低賃金のために消費ができない。
国内でお金が世代を超えて循環する仕組みができていないのだ。
移民で人口減少社会の諸問題を解決できるのか。
できない。
移民の絶対数が不足している。
急激に移民を増やすことは不可能である。
治安維持や生活保護のコストが激増することが明白だからだ。
大量の移民よりも、いま目の前にいる日本人女性を活用したほうがいい。
世界一、高学歴で、日本語が流ちょうに話せる労働者、そして消費者がいるのである。
外国人を国内に移住させることで生じる新規のインフラ整備のコスト(たとえば日本語教育、生活保護、文化の違いによる地域住民との軋轢)が不要になる。
日本社会は、女性の経営陣への登用、正社員雇用の促進を続けなければならない。
統計データによると、女性が働く県ほど出生率が高い。
夫婦共働きのほうが出生率が高まる
のである。
著者は、最後に、
日本人の多くは高齢者になるほど、日本を出て暮らせなくなる、
と予測している。
高齢者にとって、医療機関に安心してかかれることは必須だ。
いまの日本人の高齢者で、外国語で外国人医師とコミュニケーションできる人はきわめて少ない。
それに、日本は、世界のなかでも、きわめて治安がよく気候も温暖で、食事もおいしい。
そんな特殊に住みやすい環境から出ていけるわけがないのである。
今年度、ナンバーワンの新書である。
石井政之
』
[◆ 韓国は]
『
記事入力 : 2011/06/14 07:59:36
http://www.chosunonline.com/news/20110614000009
50代の雇用率、30代を上回る
韓国の大手自動車メーカーで30年以上勤続したイさん(52)は一昨年5月に退職し、1カ月ほど休養した後、ある中小企業に再就職した。
給与は以前に比べ30%ほど減ったが、勤務時間は逆に長くなった。
大企業にいたときは管理職だったが、人手が足りない中小企業では現場で自動車の整備などをやらなければならない。
しかしイさんは「蓄えが十分ではなく、家族のためにも仕事は続けなければならない」と語る。
産業の現場では今も多くの50代が仕事を続けており、年齢別の就業率で50代は40代に続き、30代と共に2位争いをしている。
統計庁が13日に発表した今年4月の雇用統計によると、年齢別の雇用率で50代は73.31%を記録し、30代の72.29%をやや上回った。
通常、雇用市場では40代の雇用率が最も高く、続いて30代、50代がそれに続く。
月ごとの50代の雇用率が30代を上回ったのは、2009年10月、10 年5月、6月に続いて今回が4回目だ。
50代の就業者数は4月現在でおよそ508万3000人。
前月の495万8000人から12万5000人も増え、史上初めて500万人を上回った。
年代別の年間雇用率を見ると、30代はほぼ一定のレベルで推移しているが、50代は明らかに増加していることが分かる。
30代は2000年の 72.5%から10年の72.0%までほぼ変わっていない。
しかしこの期間に50代は66.5%から70.9%へと大幅に増加した。
40代に続いて50代が雇用市場で大きな比重を示すようになったのは、ベビーブーム世代(1955年から63年生まれ)が50代となったことが大きく影響している。
企画財政部(省に相当)の関係者は
「現在、50代初めの人たちはベビーブーム世代で、彼らがかつて30代、40代のときも雇用率は高かった」
「学歴が高く、若いころ仕事が十分にあったベビーブーム世代は、これまでの仕事のスタイルを維持したまま50代となり、雇用率は30代とほぼ同じレベルで推移している」
と述べた。
』
◇ ヒマつぶし検索
_