2011年6月7日火曜日

大学は出たけれど:韓国大学事情

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livedoor ニュースにあった朝鮮日報の特集記事から。
タイトルは「日本より悲惨な韓国の大学生」です。


記事入力 : 2011/06/07 15:26:34
http://www.chosunonline.com/news/20110607000062

韓国の大学、学費は高いが教育の質はOECD最下位
大学教員1人当たりの学生数、OECD加盟国平均の2倍以上



韓国の大学生は、高額な学費を支払っても、それに見合った質の高い教育サービスを受けられずにいる。
それどころか、大学の教育環境は国際的に最下位のレベルだ。

OECD(経済協力開発機構)の調査によると、教育のレベルを示す代表的な指標である「(専任)教員1人当たりの学生数」で、韓国の大学の平均は32.7人とOECD加盟国平均(15.8人)の2倍を超えている。
▽.イギリス:16.9人、
▽.フランス:16.2人、
▽.イギリス16.9人、
▽.アメリカ:15.0人、
▽.メキシコ:14.4人、
▽.ドイツ:11.5人、
▽.日本:10.4人、
▽.スウェーデン:8.5人
だ。
韓国の大学の教育環境がこのような状況なので、教授と学生のお互いに対する満足度が低いのは当然ともいえる。

教育と研究活動に対する支援レベルを反映する大学図書館蔵書数でも、韓国の大学は後れを取っている。
韓国教育学術情報院の大学図書館統計分析によると、国内上位大学の在学生1人当たりの所蔵図書数(70冊)は、調査対象に含まれた米国の大学113校の中の最下位(71冊)よりも少なかった。

大学が在学生1人当たりに使用する資料購入予算は、韓国の1位であるソウル大学(25万ウォン=約1万8500円)が、米国の最下位(27万ウォン=約2万円)よりも少なかった。
韓国の大学図書館の座席1席当たりの学生数は4.8人(私立)から6.9人(国公立)で、韓国の大学生は図書館でゆったり勉強するのも難しいのが現状だ。
韓国教育学術情報院は
「四年制大学の図書館は在学生数の30%以上を収容するよう基準が決められているが、現在韓国の大学は、基準の62%しか確保できていない」
と明らかにした。
学生が大学に納付する金額に比べ、大学が学生に投資する費用も少ない。
韓国の大学が、
学生の教育のために使う費用は1人当たり8,920ドル(約71万5000円)
で、OECD加盟国平均(1万2907ドル=約103万4000円)を大きく下回っている。
▽.アメリカ:(2万7010ドル=約216万4000円)、
▽.スウェーデン:(1万8361ドル=約147万1000円)、
▽.オーストラリア:(1万4726ドル=約118万円)、
▽.日本:(1万4201ドル=約113万8000円)
など、先進国の半額しか学生に投資していないことになる。

大韓商工会議所が5年前、大学を卒業した社会人1019人を対象に大学教育満足度を調査した結果、10人中3人は
「現在行っている業務は、大学に行かなくてもできる」
と答えた。
大学教育が会社の仕事に役に立たないと感じているという意味だ。
「大学教育が企業の要求を反映している」と答えた大卒者は 10人中1人にすぎなかった。
多くの大卒者が
「高額な学費に比べ、得たものが少ない」
と話しているのは、このような理由からだ。




記事入力 : 2011/06/07 14:34:28
http://www.chosunonline.com/news/20110607000058

高額な大学授業料、家族は四苦八苦
大卒未就職者が納付した学費、年間7兆ウォンに

大卒未就職者が大学に支払った授業料の総額を計算すると、年間で7兆ウォン(約5187億円)に上る。
これは、昨年の韓国の個人負債増加額(57兆ウォン=約4兆2242億円)の12%、大学奨学金総額の約4倍に達する規模だ。
大学教育は必ずしも就職が目的というのではなく、大学で受けた教育が社会的な資産となり得ることを考慮すると、過度な大学進学熱が膨大な社会的損失を生んでいると、専門家たちは指摘する。

年間7兆ウォンに上る授業料の大半は家計の所得から支払われている。
現在、韓国の大学授業料に占める奨学金の割合は約12%。残りの6兆ウォン(約4446億円)以上は学生とその家族が負担している。
大学生の学費を工面するため、家族がさまざまな犠牲を払いながら生活)しているというわけだ。
基金の運用収益、寄付金、政府補助金などで運営資金を賄う欧米諸国の大学とは異なり、韓国の大学は授業料収入に頼っているため、家計の負担が大きくならざるを得ない。

■年収5500万ウォンでも母親がパート




釜山市金井区に住む主婦のAさん(53)は、二人の子どもが同時に私立大学に通うことになったため、パートに出ることにした。
夫は貿易会社に勤務しており、年収は5500万ウォン(約407万円)だが、学費を支払うには到底足りなかった。
Aさんは時給2500ウォン(約185円)のレンタルビデオショップで1日14時間働き、1カ月で70万ウォン(約5万1900円)を稼いだ。
翌年、店が廃業したため近所のスーパーでレジ打ちのパートを始めた。
時給4000ウォン(約300円)で1日4-5時間働いたが、長くは続けられなかった。
結局、息子は軍に入隊し、娘は休学して喫茶店やファミリーレストランでアルバイトをすることになった。

教育科学技術部(省に相当)が4月に公表した今年の四年制大学の授業料現況によると、年間の平均授業料が800万ウォン(約59万円)を超える大学は昨年の34校から50校に増えた。
四年制一般大学に通う学生の25%が、1カ月に平均66万ウォン(約4万9000円)以上を負担している計算だ。
全国の国公立大学の授業料は平均443万3000ウォン(約32万8000円)で、私立大はこれより1.7倍多い768万6000ウォン(約57万円)だった。

大邱在住のBさん(56)は「娘には学費が安く、寮費もかからない地方の国立大学に行くよう説得したが聞き入れず、首都圏の大学に進学することになったため大変だ」と語った。

■四大卒の未就職者、年間13万人に

ソウル出身のCさん(23)は、2007年に江原道の私立大学に入学し、8学期のうち4学期の学費をローンで賄った。
ローンの元金だけで1500万ウォン(約111万円)を超える。
「学期中は一生懸命勉強して奨学金をもらい、休暇中に学費を稼ごう」
と決めたが、思うようにはいかなかった。
休暇中はローンの利子を稼ぎ、学期中は生活費を稼ぐという状況が繰り返され、そのせいで成績も振るわなかった。

その間、肉体労働に就いていた父親は1カ月の利用料金が2万ウォン(約1500円)にも満たない携帯電話を解約し、建設現場の食堂で働く母親は 80-100万ウォン(約5万9000-7万4000円)の月給から10万ウォン(約7400円)ずつ貯金した。
Cさんの学費を少しでも工面するためだった。

韓国では高卒者の80-90%が大学に進学し、世界最高水準の大学進学率を記録している。
こうした教育熱は、能力のある人材を養成するという肯定的な面もある。
だが、専門性を身に付けられないまま大学を卒業し、就職先が見つからない学生が増えるという悪循環が続いている。
教育科学技術部の資料によると、教育大学や産業大学を除く四年制大学185校の昨年の卒業生(就職対象者)24万8660人のうち、就職できた学生は12万9130人で、就職率は 51.9%にとどまった。

梨花女子大学のパク・チョンス教授は
「大学に進学しなければ、就職や結婚などでさまざまな不利益を受けるのが韓国社会の現実だ。
職業観や大学の機能などに対する認識と制度が総合的に変化してこそ、高額な授業料問題も解決されるだろう」
と指摘した。




記事入力 : 2011/06/07 14:31:16
http://www.chosunonline.com/news/20110607000057

韓国の大学生、高い学費払っても半数は就職できず
家族のため息と就職の苦痛
大学生1人を卒業させるために、家族全員が犠牲に
卒業後も就職難で挫折

ある靴メーカーで女性営業社員として働いているイさん(31)の給料は月200万ウォン(約14万8300円)。
イさんには以前から付き合っている恋人がいるが、数年前に結婚式を延期した。
大学に入学した妹の学費を支払うために、結婚式の費用が準備できなかったからだ。
両親は飲食店を営んでいたが、経営が行き詰まって稼ぎはほとんどない。
そのため、イさんが妹の学費の面倒を見なければならなくなった。
1年間に掛かる費用は最低でも納付金700万ウォン(約52万円)と寄宿舎費200万ウォン。
これらを準備するため、イさんは積み立て貯金も解約した。
妹は姉に会うたびに泣きながら「申し訳ない」を繰り返しているが、入学後も何度かイさんに支援を求めてきた。

妹は何度か休学しながらも、昨年ようやく卒業した。
しかし、妹を待っていたのは厳しく苦痛に満ちた就職難の現実だ。
複数の企業を何度も訪問したが、内定を得ることはできなかった。
そのため、卒業後は英会話スクールの講師、貿易会社の経理など、非正規社員として仕事を転々としながら生活費を稼いだ。
しかし、今では非正規の仕事さえ徐々になくなり、完全に無職となった。
妹は
「これまで犠牲になってきた家族のためにも、良い仕事に就きたいと思っているが、どうやらそれも不可能なようだ。
これでは何のために高い金を払って大学を卒業したのか分からない」
と嘆く。

「大学納付金1000万ウォン(約74万円)時代」
といわれる今、大学に通うために世界で2番目に高い学費を払わなければならない韓国では、大学を卒業しても就職できない卒業生が街にあふれている。
彼らだけではない。
その家族も当然のことながら同じ苦痛を味わっている。

韓国の昨年の大学生数は332万人とされている。
それも実際に通っているのは295万人で、残りは休学中だ。
大学生の数は全人口4858万人の 6.8%を占めており、国民16.5人のうち1人は大学生という計算になる。
彼らが4人家族と仮定すると、大学生1人の学費を負担するため生活に影響が及ぶ家族は1300万人となり、これは全人口の27%に達する。

教育科学技術部(省に相当)の調査によると、昨年185校の大学を卒業した新卒者は24万8660人いるが、その中で実際に就職できたのは12万9130人で、新卒者の就職率は51.9%にとどまった。

昨年、全国の大学に支払われた納付金の総額は14兆4000億ウォン(約1兆674億円)だが、卒業生の半分近くは就職できない状況が続いているため、大学に支払われる学費の半分は、国の生産活動に直結しない社会的損失となっている。

中央大学教育学科のイ・ソンホ教授は
「今のように大学進学率が異常に高い状況では、今後も就職難が続く可能性が高い。
過剰な大学教育によって起こる社会的損失を減らすためには、より大掛かりな対策が必要だ」
と述べた。




記事入力 : 2011/06/07 15:24:29
http://www.chosunonline.com/news/20110607000060

韓国の大学、学生納付金を別の用途に流用も
11校が増改築の積み立てや他の用途に使用

韓国の大学生たちは、経済協力開発機構(OECD)加盟国中、2番目に高い学費を支払っているが、一部の大学では、学生の教育に充てる費用が、学生が納付した金額を下回っている。

教育科学技術部(省に相当)の「2005‐09年・大学経営決算結果分析」によると、最近5年間、学生納付金をその年の学生の教育に使用せずに一部残しておいたり、他の用途に使ったりした四年生私立大学が11校に上った。
これらの大学は、納付金をどれくらい教育のために支出しているかを示す「納付金還元率」が5年連続で100%に満たなかった。

大学は政府の補助金、財団からの資金、収益事業の利益なども活用するため、少なくとも学生納付金以上の教育投資を行うのが正常とされる。

大部分の大学では、学生の教育費として支出する金額が学生納付金を上回るが、これら11校の大学は、校舎新築などのために納付金を積み立てていることが分かった。
このような大学は地域別にみると、ソウル4校、京畿道3校、忠清道3校、慶尚道1校となっている。

淑明女子大のソン・ギチャン教授は
「納付金還元率が5年連続で低かった大学は、非正常とみることができる。
納付金が学生の教育のためにきちんと使われるよう、
透明な制度改善が必要だ」
と話した。





記事入力 : 2011/06/06 11:24:38
http://www.chosunonline.com/news/20110606000043

大学の学費が世界で2番目に高い韓国
学費1000万ウォン時代




釜山で中小企業の部長として働くキムさん(52)の年収は6500万ウォン(約484万円)だ。
韓国の1800万世帯を、所得に基づいて区分した場合、キムさんは上位20%に入る、いわゆる高所得世帯となる。

しかしキムさんの生活に余裕はない。
2人の息子はソウルの大学に通っており、大学の学費をはじめ教育費が生活を圧迫しているからだ。
給与から税金や年金、健康保険などを天引きすると、キムさんの手取りは年間およそ 5800万ウォン(約432万円)ほど。
その中から息子の学費を支払っているが、その額は1人当たり750万ウォン(約56万円)で、年間で計1500万ウォン(約112万円)の支出となる。
また、息子2人が生活するワンルームマンションの家賃は45万ウォン(約3万3500円)で、年間540万ウォン(40万円)かかる。
さらにテキストなどの教材費が1人当たり月15万ウォン(約1万1200円)で、年間360万ウォン(約27万円)。
これらを合計すると、年収の40%に当たる2400万ウォン(約178万円)が教育費として投じられることになる。
さらに息子の食費や交通費で月30万ウォン(約2万 2300円)が必要だが、これらの生活費は息子たちが家庭教師などのアルバイトで稼いでいる。
キムさんは
「定年が迫っているが、老後の準備はまったくできていない」
と語る。

大学の学費が一部大学の医学部などで年間1000万ウォン(約74万円)にまで跳ね上がり、大韓民国の家計を圧迫している。
特にここ10年間での上昇率が目立っており、庶民はもちろん、中産層にとっても大きな負担となっている。
大学に入学するまで予備校や家庭教師の費用で圧迫される家計は、大学に入ってからも学費の負担で、時にはさらに借金を重ねなければならなくなる。
とりわけソウルや首都圏の大学に子供を通わせている家庭は負担が大きい。
学費だけでなく、家賃や生活費も負担しなければならないからだ。

2010年の経済協力開発機構(OECD)教育指標によると、韓国の私立大学の学費は購買力平価基準で8519ドル(約68万3400円)だった。
これは米国、日本、英国など調査対象11カ国のうち米国に次いで2番目に高い。
国立大学も4717ドル(約37万8400円)で、やはり米国に次いで 2番目に高かった。

韓国大学教育協議会によると、ソウル市内にある34校の四年制私立大学のうち、20校の年間授業料は平均800万ウォン(約60万円)を上回った。
医学部がある場合は、1人当たりの授業料平均は900万ウォン(約67万円)近くなる。
授業料の額は、2002年に政府が国公立大学独自の判断に任せたことをきっかけに急激に上昇した。
01年の時点で上昇率が4.9%だったのが、02年から08年には毎年7.4%から10.3%も値上がりした。

同様に、私立大学も毎年5.1%から6.9%ずつ学費が引き上げられた。
政府が大学の自主性に任せて導入した制度だったが、結果的に学費の急激な上昇を招いてしまった
06年から10年までの物価上昇率は16%だったが、国公立大学の授業料は32%、私立大学は25.3%上昇した。

学資金融資を2回受け、その返済のためアルバイトに励む京畿道抱川市のキムさん(23)は
「学費の負担と返済に追われ、勉強するために大学に入ったのか、借金を返すために入ったのか分からない」
と語る。

このように多くの大学生が借金をしながら学費を支払っているにもかかわらず、先進各国に比べ、それほど高いレベルの教育を受けているわけでもない。
韓国の私立大学では、1年間に学生1人当たりの教育費に占める学費の割合は95%で、日本の48%や英国の30%に比べ、2倍から3倍以上に達する。

淑明女子大学のソン・ギチャン教授は
「大学の財源のうち、学生が支払う授業料の割合は非常に高い。
このような状況は)、現在のいびつな財務構造が変わらない限り続くとみられる。
そのため、授業料を半額免除する制度について結論を見いだすのも容易ではないはずだ」
と述べた。



特集は翌日・翌々日も続いた。

『』
記事入力 : 2011/06/08 13:40:26
http://www.chosunonline.com/news/20110608000053

高額な大学授業料、貧乏学生は学費稼ぎにあくせく
「スペック」高い同級生に就活でも遅れ取る


























大学授業料の負担が大きくなっていることから、同じ大学に通う学生の間でも格差が広がっている。
経済事情が悪い学生は勉強よりも「授業料稼ぎ」が中心の生活になりがちだ。
このため、成績が落ちて奨学金がもらえない上、就職活動でも失敗するという悪循環に陥っている。

米国では所得水準を考慮した奨学金制度が発達しているが、韓国では主に成績優秀者に奨学金が与えられる傾向が強い。
学費を稼ぐため成績が下がってしまう「貧乏学生」が勉強に専念できるよう支援するシステムがないのだ。

■同じ大学なのに別世界の人

ソウル市内の私立大学に通うキムさん(24)はこの4年間、授業料(1学期450万ウォン=約33万5000円)と生活費を稼ぐため苦労してきた。
事業に失敗した親が学費・生活費を支払えなくなったためだ。
家庭教師のアルバイト(月30万ウォン=約2万2000円)をする一方で、デパートの駐車場係員や包装などさまざまなアルバイトを掛け持ちした。
一時、バイトを続けるのがとてもつらくなり、「成績優秀者対象の奨学金をもらおう」と思い立った。
そこで寝る間も惜しんで勉強し、4.2点という優秀な成績を取ったが、結局は同じ科の学生のうち上位10%以内に入れず、奨学金はもらえなかった。

アルバイトをしても授業料には大幅に足りなかった。
3学期分は学費ローンを借りたが、今年初めに卒業まであと1学期を残し休学した。
お金で苦労する生活に疲れただけでなく、就活のためには、資格を取るための学校の授業料も必要だったからだ。
最近は午前9時から午後6時まで働き150万ウォン(約 11万1000円)稼いでいるが、ワンルームマンションの家賃(50万ウォン=約3万7000円)、学費ローンの利子(8万ウォン=約5900円)、生活費、携帯電話代などを差し引くとほとんど残らない。

キムさんは
「大学で低所得者層対象の奨学金を申請しようとしたが、それも単位の基準が厳しく、申請できなかった。
家の経済事情がさらに悪化したため、もう1学期休学しなければならなさそうだ」
と話す。

キムさんと同じ大学に通うコンさん(25)は状況が全く違う。
親の年間所得は1億ウォン(約740万円)以上という高所得者層のため、授業料(1学期350万ウォン=約26万円)だけでなく、毎月小遣いとして30万ウォン(約2万2000円)もらっている。
普段は学科の授業に集中し、討論サークルなどの活動にも積極的だ。
コンさん自身、勉強熱心な学生だが、授業料の融資を受けているほかの学生に比べ授業に集中でき、成績優秀者対象の奨学金を何回かもらった。
親が2000万ウォン(約150万円)を援助してくれたため、米国やフィリピンに語学留学もした。
現在は労務士になるという夢をかなえるため、資格試験の準備を早々に始めている。

■就職まで続く学生の経済格差

キムさんとコンさんが通っているH大学では、2009年の奨学金総額425億ウォン(約31億6000万円)のうち、16.4%を経済的に困難な学生に支給した。
だが、それ以外は成績優秀者対象の奨学金や学生会幹部対象の奨学金などだ。キムさんのような学生が奨学金を受け取れない理由がここにある。
こうした現象は全国の大学でも同様だ。
各大学が09年に支給した奨学金総額のうち、経済的に困難な学生が受け取ったのは18.2%だ。
ソウル市内の私立大学生で卒業が近いイさん(24)は
「最近は本当に経済的に苦しい学生が奨学金を受け取れず、学費ローンで何とかつないでいる。
こうした学生たちが高い授業料を支払い通っている大学は、将来を保障してくれるどころか、借金という心配のタネだけ残すということ」
と話す。

このように、同じ大学内での経済格差は、就職問題にもつながっている。
経済力がない家庭の学生は授業料や生活費のために休学を繰り返し、さまざなま「スペック」(英語の成績・学歴・経歴・資格などの有利な条件)が低く就職に不利なのに対し、経済力がある家庭の学生は、単位管理や就職準備を十分にしているケースが多い。

ソウル市内の私立大学教授は
「学生が子供のころは私教育(学習塾や習い事)の差が大学進学に影響したとすれば、大学生の経済格差は、就職や人生の進路を変える『変数』になっている。
貧しくても夢をかなえたいという意志があり、潜在力が高い学生を支援し、格差のスパイラル(連鎖)を断ち切ってやることが必要」
と話している。





記事入力 : 2011/06/08 13:37:51
http://www.chosunonline.com/news/20110608000052

地方大、学資金融資の割合がソウル私立大の2倍









地方の大学生はソウルの大学生に比べて、納付金など学資金の融資を2倍以上多く受けていること分かった。
これは、地方大学に通う子供を持つ家庭が、それだけ多くの借金を抱えていることを意味する。
7日に本紙が韓国奨学財団発行の「学校別学資金融資者数(2010年度)」を分析したところ、ソウル市内の主要私立10大学に通う大学生のうち、納付金の融資を受けている割合は平均13%だった。
一方で全国の地方大学129校では、この割合が平均 26%に跳ね上がる。
つまり地方大学では10人に3人近くが、数百万ウォン(100万ウォン=約7万4300円)から数千万ウォン(1000万ウォン=約 74万3000円)の借金を抱えて大学に通っていることになる。
納付金が年間869万ウォン(約64万6000円)のY大学(ソウル市内)の場合、融資を受けている学生の割合は10%ほどだが、納付金が同614万ウォン(約45万6000円)のB大学(慶尚南道)では、30%の学生が融資を受けていた。

「大学納付金1000万ウォン時代」
が到来し、地方の家庭は子供をソウルに行かせることができず、近くの大学に進学させるケースが目に見えて増えてきた。
経済的に苦しい学生は、たとえ地方の大学でも学資を稼ぐためアルバイトに精を出す以外になく、勉強がまともにできない。
そのため地方大学出身者は、就職難という困難な状況で一層不利な立場に置かれている。

京畿道のA大学3年生オさん(25)は、これまで5回休学した。
高校時代に親が離婚したため、家庭の経済事情が急速に悪化し、勉強に集中できず、結局は地方の私立大学に入学した。
大学に入ってからはコンビニや居酒屋など複数のアルバイトを掛け持ちしたが、1学期の納付金350万ウォン(約26万円)を稼ぐのは大変だった。
アルバイトに時間を取られて勉強時間が確保できず成績が下がり、その影響で奨学金も申請できなかった。
オさんは
「教師になる夢を持っているが、それを実現させるには教育大学院に通わなければならない。
しかし今はそれも非常にぜいたくなことに思えてきた」
「今では勉強とも距離を感じている。大学を卒業する自信がなくなった」
と語る。

ソウルのB大学で大学院に通うイさん(25)は、これまでアルバイトをした経験がない。
高校時代は塾や家庭教師の下で勉強し、希望する大学に入学することができた。
入学後も前期だけで360万ウォン(約26万7300円)の納付金や毎月の小遣いを親からもらっている。
経済的に困ることがなく勉強に専念でき、4年間ずっと成績も優秀で、奨学金も受け取ることができた。
3年生のときには親から3000万ウォン(約223万円)をもらい、英国に語学留学をした。

韓国研究財団のペ・ヨンチャン本部長は
「塾や家庭教師について学んだ裕福な家庭の学生たちは、優秀な成績でソウル市内の主要大学に進学する。
また、大学でも経済的に心配する必要がないため勉学に専念でき、実力を付けて就職でも有利な状況となる。
これがソウル市内の大学と地方の大学との格差が広がる要因の一つだ」
と語る。
なお、これは奨学金支給状況にも表れており、ソウル市内主要大学に比べて地方大学は振るわない。
教育科学技術部(省に相当)の 2009年度の資料によると、在学生1人当たりの奨学金が高い上位10校のうち、8校がソウルの主要私立大学だった。
建国大学のオ・ソンサム教授は
「一部の地方大学では、学生が支払った納付金を教育のために投資しないばかりか、奨学金も少なく、良質の教育が行われていない」
と指摘した。





記事入力 : 2011/06/08 13:41:14
http://www.chosunonline.com/news/20110608000055

私立大学が学費を建設費などに流用

私立のA大学は、附属病院の移転・新築に関する契約を締結し、契約金として6億3000万ウォン(約4700万円)を支払った。
だが、その契約金は附属病院の予算ではなく、学生が支払う学費の割合が高い大学の予算から支出された。
その後も3回にわたり、附属病院の新築に掛かる費用46億 9000万ウォン(約3億4650万円)が大学の予算から支出された(教育科学技術部〈省に相当〉の『2009年私立大学監査白書』より)。

学生や親たちが苦労して支払った高い学費が、教育条件の改善や奨学事業とは関係のない用途に使われているケースが少なくない。

学費が高いのは、金を積み立て、学生の教育との関連が薄い分野に使っている大学の行為が一つの要因となっている。
中でも、1棟当たりの建設費の平均が125億ウォン(約9億2300万円)に達する建物の新築など、大学の不動産に対し、学費の中から多くの金が使われている。
学費を支払った学生たちは、卒業するころに完成する建物のために金を支払っていることになる。

今年2月、教育科学技術部が公開した資料によると、全国に149校ある私立の四年制大学の積立金は計6兆9493億ウォン(約5125億円)に上った(09年決算を基準)。
専門大学(短大に相当)や産業大学(社会人向けの大学)、大学院大学まで含めると、その額は10兆ウォン(約7370億円)に達するというデータもある。
積立金の用途のうち、建設費が46%と、最も高い割合を占めている一方、研究費(9.2%)や奨学金(8.6%)の割合が低いの現実だ。

一部の私立大学では、予算の支出をめぐる不正も行われている。
B大学は法人理事長の専用車を「業務用車両」として購入し、運転手の人件費8800 万ウォン(約649万円)やガソリン代1500万ウォン(約110万円)を合わせ、計1億8000万ウォン(約1300万円)を大学の予算から支出した。

大学の予算が、大学とは無関係の団体に支払われるケースも相次いでいる。
C大学は、同じ学校法人が運営する幼稚園などに勤務する事務職員10人の人件費2億5000万ウォン(約1800万円)を大学の予算から支出していたとして摘発された。
また、大学の総務管理課長が、スクールバスの料金9400 万ウォン(約690万円)を大学の予算に算入せず、ほかの銀行口座に入金して、子どもの結婚費用として流用していたケースもあった。




記事入力 : 2011/06/09 14:45:43
http://www.chosunonline.com/news/20110609000054

「大学の学費は高く、子どもの将来のために働くしか…」
「休みなく働いてきたが、自分のために使うお金がたまらない」

慶尚北道慶州市で食堂を経営するイ・ドンイルさん(49)は「老後のことを考えたら憂うつになる」と話した。
イさんは1963年生まれで、韓国の第1次ベビーブーム世代(韓国戦争〈朝鮮戦争〉直後の1955年から、家族計画事業〈産児制限〉が始まった63年までの間に生まれた世代)に属する。
学校を卒業後、自動車部品工場に就職したイさんは、その後複数の中小企業を渡り歩きながら、朝から晩までまじめに働いた。
3人の子どもたちが起きているときに帰宅したことはほとんどなかった。

イさんは97年に発生したアジア通貨危機のあおりで初めて解雇された。
有り金をはたいてタンクローリーを購入し、石油運送業を始めた。
昼夜を問わず働き、月500万ウォン(約37万円)を稼いだが、両親の医療費が月に100万ウォン(約7万4000円)かかった。
「兄に代わって両親の面倒を見たが、負担に思ったことはなかった。もっと親孝行したいという思いで働いた」

石油運送業をやめ、フライドチキン店を開いたが、今度は子どもたちの学習塾などの費用がかさむようになった。
長女が高校在学中、家庭教師代として月50万ウォン(約3万7000円)かかった。
さらに2人の息子の塾の月謝を合わせると、稼いだ金の半分が子どもたちのために消えたことになる。
妻はフライドチキンを作り、イさんはそれをオートバイで配達した。
こうして月に500万ウォンを稼ぎ、今年春に啓明大に入学した長女の学費400万ウォン(約30 万円)を何とか納めることができた。
「学費があまりにも高く負担が大きいが、子どもが一生懸命勉強に打ち込めるよう、学費を出していきたいと思う」
とイさんは話した。

イさんは今、長男の大学進学に向け準備を進めている。
高校2年生の息子はソウルの大学への進学を希望しているため、学費だけでなく家賃や生活費も工面しなければならない。
現在のところ、老後の対策といえば国民年金と終身保険1種類しかない。
持ち家があるものの、貯蓄はほとんどない。

イさんは今年初め、フライドチキン店を閉め、カルグクス(韓国式の手打ち麺)店を始めた。
妻と共に料理をし、接客もしている。

「両親の面倒を見たり、子どもを育てたりするのに金がかかり、私たち夫婦が使うための金はためられなかった。
大学の学費は高いが、
子どもが大学を出さえすれば良い暮らしができる
と思い、金を稼いでいる」
とイさんは話した。








記事入力 : 2011/06/09 14:43:56
http://www.chosunonline.com/news/20110609000051

四面楚歌のベビーブーム世代
定年を迎えると子供は大学生

大学納付金年間1000万ウォン(約74万円)時代
の到来は、仕事から退く年齢になって子供が大学に行き始めるベビーブーム世代の親たちにとって、まさに「直撃弾」となっている。
1955年から63年に生まれたこの世代は現在48歳から56歳で、早い人はすでに数年前から定年を迎えている。
人口はおよそ710万人だ。

この世代は親を養育する伝統的な価値観が根強く、その一方で金ができると小中高校生の子供の塾代、家庭教師代を惜しまない
私教育ブーム世代
でもある。
韓国でも平均寿命が延びており、ベビーブーム世代は退職後30 年以上にわたる老後に備えなければならない。
しかし現実は雇用不安、老後への不安、子供への教育費負担などに苦しんでいる。

■子供の教育費で老後への備えなど考えられず

ソウル市城北区に住む1956年生まれのキムさんは(55)は、30年にわたり公務員として働き、現在の年収はおよそ5500万ウォン(約406万円)だ。
キムさんには2人の子供がおり、上の娘は現在国立大学の3年生で、息子も今年私立大学に入学した。

キムさんは4年後に定年を控えているが、退職金は全額を一度に受け取るつもりだ。
マンションのローンが6000万ウォン(約443万円)残っているため、まずはこれを返済しなければならない。
また兄が母親の面倒を見ているため、毎月20万ウォン(約1万5000円)を送金している。
このような状況では、年間500万ウォン(約37万円)かかる娘の学費をまかなうのは大変なことだ。
その上、息子も今年から私立大学に通っているため、娘以上に多くの学費が必要となっている。

「息子の入学金や授業料として600万ウォン(約44万円)を一気に支払うと、本当に不安になってきた。
次の学期からは学資金融資を受けなければならない」

キムさんは12年前から今の車に乗っておりあちこち傷だらけだが、自分でペイントして済ませている。
キムさんは
「2人の子供を大学に行かせるには1億ウォン(約740万円)ほど必要だと思う。
これをそのまま貯金できれば、老後もかなり楽になるはずだが」
と話した。

昨年12月、本紙とソウル大学がベビーブーム世代4674人を対象に行った調査によると、毎月の平均支出額は283万6000ウォン(約21万円)だった。
そのうち子供の養育費が60万4000ウォン(約4万 5000円)、親(妻の親を含む)への支援に27万6000ウォン(約2万400円)かかっていた。
ここに、年間700万ウォン(約52万円)から800 万ウォン(約59万円)という子供の大学納付金がのしかかってくると、老後の備えなど考えもつかない。

■ベビーブーマーの90%「結婚までは面倒を見る」

ソウル市蘆原区に住むイさん(51)は職業軍人だったが、昨年除隊し、現在は中小企業のサラリーマンとして働いている。
年金と給料を合わせると毎月500万ウォン(約37万円)の収入があるが、2人の娘が私立大学に通っているため、毎月収入の10%も貯金ができない。
軍にいたころ長女の7学期分の大学納付金として、無利子で2300万ウォン(約170万円)の融資を受けたが、除隊の際にその返済のため、4000万ウォン(約296万円)の退職金から1300万ウォン(約96万円)差し引かれた。
残りの1000万ウォン(約74万円)は、毎月の年金から30万ウォン(約2万2000円)ずつ3年かけて返済することになっている。

このように生活には決して余裕があるわけではないが「就職するには語学研修が必要」という話を聞き、上の娘を米国に短期留学させた。
長女の生活費と研修費、さらに次女の入学金や授業料など一気に450万ウォン(約33万円)が必要になったが、もちろん給料だけではまかなうことができず、それまでこつこつと貯めていた1億ウォンの定期預金を取り崩し、長女への仕送りに充てた。
イさんは持ち家がなく、伝貰(チョンセ=高額の保証金を預ければ、その運用益で家賃負担が不要となる韓国独特の賃貸制度)で家を借りているが、 
2人の娘は何としても大学を卒業させなければならない
と考えている。
イさんは
「結婚資金は自分で準備するよう言っているが、余裕があれば当然支援したいと思っている」
と語る。

韓国のベビーブーム世代は子供の教育について、際限のない責任感を持っている。
統計庁が昨年行った調査によると、この世代の99.1%は
親は子供の大学進学のため面倒を見なければならない
と回答した。
その一方で83.1%は
所得の割に教育費の負担が大きすぎる
と回答した。
大学を卒業すれば全てが終わるわけではない。
「子供の結婚費用も親が負担すべき」
とする回答も90%に上った。

未来アセット退職年金研究所のカン・チャンヒ所長は
「ベビーブーム世代の60%は退職後の準備ができていないが、その原因の多くは子供の教育費のためだ。
この世代は、就職や結婚の際に親が犠牲になるべきという伝統的な考えを持っている」
と述べた。
平沢大学教育大学院長のチャ・ミョンホ教授は
大学教育だけが良い人生を保障すると考える社会の通念
 が変わらない限り、この問題はベビーブーム世代以降の世代でも続くだろう」
と予想した。











































記事入力 : 2011/06/09 14:45:04
http://www.chosunonline.com/news/20110609000053

ベビーブーム世代の6割「退職後の蓄えが不十分」

韓国戦争(朝鮮戦争)後の1955年から63年までに生まれた「ベビーブーム世代」は、韓国の総人口の14.6%(713万人)=2010年基準=を占める。

2010年のソウル大学の調査によると、兄弟姉妹数は5.2 人、20.2歳で都市に移り就職し、結婚後に1.9人の子供をもうけるというのが、この世代の平均的な姿だ。
平均年収は4779万ウォン(約353万円)で、家屋を含め2億9633万ウォン(約2190万円)の純資産を保有している。
業種別では製造業(20.9%)が最も多く、次いで卸・小売業(15.3%)、宿泊・飲食店業(10.5%)、建設業(9.6%)と続く。
1954年以前に生まれた世代と比べ、製造業や建設業に従事する割合が大幅に上昇した。

だが、ベビーブーム世代は中年以降に通貨危機や世界的な金融危機、競争の時代の後遺症などを経験し、早期リタイアの危機に追い込まれている。
特に、大半はしっかりした老後の対策もなく、頭を悩ませている。

ソウル大の調査で、ベビーブーム世代の59.9%が、退職後の蓄えが十分に準備できていないと回答した。
また、子どもの結婚資金(29.2%)、教育費(26.9%)の工面に最も負担を感じていることが分かった。




記事入力 : 2011/06/09 13:26:23
http://www.chosunonline.com/news/20110609000044

大学の「寄付金入学」めぐり論争再燃
寄付金20億ウォンで200人の学費を賄うことが可能











庶民や中産層にとって大きな負担となっている大学納付金の高騰問題を解決するため、金滉植(キム・ファンシク)首相は8日「国民的合意」を前提に寄付金入学制度への前向きな見方を明らかにし、この問題が改めて注目を集めている。

金首相は「あくまで私見」と前置きした上で「貧しくても優秀な学生のために100%使われるのであれば、(寄付金入学制度の導入は)検討に値する」と述べた。この制度に関しては、大学など教育機関の間で「納付金を引き下げる現実的な方法」との見方がすでに一般化している。

しかし、国民の間では
「大学が寄付金を受け取って学生の入学を認めるのは、富裕層への特恵だ」
として、今も違和感が根強い。
ごく最近行われた世論調査でも、反対意見が多数を占めていた。

寄付金入学制度とは、大学に一定以上の額を寄付した人の子どもや孫などに入学を許可するという制度だ。
米国の私立大学では「レガシー入学制度」と呼ばれて一般化しているが、韓国では規制されているため行われていない。
ちなみに韓国では「寄付金入学制度」「高校のランク付け」「大学による独自の入学試験(小論文などを除く)」は「3不制度」と呼ばれており、いずれも規制の対象となっている。

■少数から寄付を受け取り、多数を支援

寄付金入学制度に賛成する側は
「韓国の大学での財務構造の問題を解決するために導入すべき」
と主張する。
現在、韓国の私立大学では収入の50%以上が学生によって支払われる納付金で賄われているため(米国や英国では26%)、この割合を下げるには寄付金による収入を増やす以外になく、この寄付金を貧しい学生への奨学金に充てるべきということだ。
例えば20億ウォン(約1億4700万円)の寄付金があれば、200人の学生に対して納付金を免除することができる。
韓国では現在、私立大学の収入に占める寄付金の割合はわずか2.4%だ。

過去にも2001年には延世大学、09年から10年には高麗大学が寄付金入学制度の導入を認めるよう強く求めた。
特に高麗大学の李基秀(イ・ギス)総長は昨年、大学教育協議会の会長に就任する際「100億ウォン(約7億3600万円)を寄付してくれた方の子や孫が、一定の学力を持つことが検証されれば、定員外で入学を認める考えを持っている」
と発言した。

ソウル市内のある私立大学教授は
「政府が本当に納付金を半額にしたいのであれば、政府からの支援や寄付金を増やす以外にないはずだ。
この二つのうち、より現実的なのは寄付金入学制度で、これが導入されれば大学の財政難は解決できるだろう」
と語る。

別の大学教授も
「一定の制限(例えば定員の1%など)を設けた上での話であれば、ぜひとも検討すべきだ」
と述べた。

■金で大学に行くのは認められない

しかし、国民の間ではこの制度に対する反対意見も根強い。
世論調査会社のリアルメーターが昨年行った寄付金入学制度に関するアンケート調査によると、反対は51.2%だったが、賛成は29.6%にとどまった。
07年に行われた同じ調査では、反対は60%だった。

寄付金入学制度への反対意見としては
「金さえあれば大学合格が買えるという考え方が広まれば、国民はますます違和感を感じるようになる」
という趣旨のものが多数を占めた。
韓国社会には不正や不条理が数多く残っているが、大学入試だけは試験の結果に基づいて公正に行われている。
寄付金入学制度はその信頼までも壊してしまうというわけだ。

また、この制度の導入で本当に収支が改善するのは、首都圏にあるごく一部の大学にすぎないとの指摘もある。
釜山のある私立大学教授は
「寄付金入学制度を導入すれば、一部の私立大学にだけ寄付者が集まる。
その大学は問題が解決するかもしれないが、全ての大学がこの制度で問題を解決できるとは考えられない。
そのため、結局は大学の二極化が進むだろう」
と指摘した。





























記事入力 : 2011/06/09 13:27:20
http://www.chosunonline.com/news/20110609000046

米大学の画期的な学費減免策

寄付金などを納めた家庭の学生が試験なしで大学に入学できる「寄与入学制」を実施している代表的な国は米国だ。
アイビー・リーグ(米東部の名門私立8大学)の加盟各校は、2007年末に画期的な学費減免策を相次ぎ発表した。

先陣を切ったのはハーバード大だった。
ハーバード大は年間所得が6万ドル(現在のレートで約480万円、以下同じ)以下の家庭の学生には学費を全額免除し、6万-18万ドル(約480万-1440万円)の中産層家庭に対しては、家計の所得の10%だけを学費として納めさせている。
ハーバード大に続きエール大、コーネル大、ペンシルベニア大なども、家計の所得に応じて授業料に差をつける制度を導入すると発表した。

アイビー・リーグの大学がこのように思い切った学費減免策を実施できたのは、寄与入学制などで長年積み立てた潤沢な基金があったためだ。
ハーバード大の積立金は292億ドル(約2兆3330億円)=06年基準=に達しており、富裕者から寄付を募り基金を増やし、これを中産層以下の学生のために使用している。




特集はさらに次の日も続いた。


記事入力 : 2011/06/10 15:03:13
http://www.chosunonline.com/news/20110610000055

韓国の大学による資金の使い道
少子化で新入生の減少が予想される中、土地や建物への投資に注力






昨年、全羅南道のある私立大学の在学生数は定員の72.1%、専任教員の確保率も35.2%にとどまった。
しかし建物など施設の確保率は105.2%を記録した。
大学は収入のほとんどを教育活動ではなく、建物の建設などに回しているからだ。

この大学では昨年4月、延面積5651平方メートル、地下1 階、地上3階の多目的体育館が完成した。
1階には武道場とゴルフ練習場、2階にはフィットネスセンター、3階は宴会施設やセミナー室などがある。
この建物について学校側は
「主に運動部員やスクリーンゴルフなどの授業で学生たちが使用する」
と説明している。
授業料など同校の昨年の納付金収入は250億ウォン(約18億6000万円)ほどだったが、建物の管理費として32億ウォン(約2億4000万円)が使われた。

韓国の大学が学生から高額の納付金を徴収する理由の一つが、支出に占める施設建設費用の割合が高いという点にある。
淑明女子大学のソン・ギチャン教授の分析によると、2007年度に韓国の各大学が使った教育費のうち「資本的支出」の割合は17.4%を占めた。
これは経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の9.3%を2倍近く上回る数値だ。資本的支出の多くは建物の新築費用や土地取得など、不動産関連支出に充てられている。

本紙が複数の私立大学を対象に昨年の決算報告内容を分析したところ、どの大学も資本的支出の割合が非常に高かった。
誠信女子大学では支出総額に占める割合が32%、西京大学29%、南ソウル大学26%、竜仁大学19%、伽倻大学16%だった。

韓国の代表的な私立大学でもこれに該当する支出は多く、延世大学4.6%、高麗大学9.4%、西江大学11.8%、成均館大学6.3%、梨花女子大学4.2%となっていた。

OECD各国の大学は長期間にわたり教育への投資を行い、基本的な教育インフラがすでに整っているため、支出の多くを直接の教育活動に投資している。
しかし韓国の大学では学生からの納付金収入の多くを、今も施設の拡充につぎ込んでいる。
これらは当然、巨額の費用がかかる部分だ。
一方で学生1人当たりの経費は、韓国の大学では購買力平価で7476ドル(約60万円)だが、OECD平均は8418ドル(約67万円)で、韓国の低さが目につく。
本来ならこの分野が高等教育活動というべきもののはずだ。

教育科学技術部(省に相当)のある幹部は
「大学の競争力は建物などのハード面ではなく、論文など研究成果や講義のレベルで決まる。
ところが一部の大学では、今も外見を整えることにばかり力を入れている」
と指摘する。
少子化の影響で4年後からは新入生の数も大幅に落ち込むことを考えると、大学による施設拡張競争は現実からかけ離れた運営方式と言わざるを得ない。

納付金収入が大きな比重を占める校費から、資金を流用して法人の資産を増やすケースもみられる。
教育科学技術部が発行した「2009私立大学監査白書」によると、ある学校法人は校費から243億ウォン(約18億円)を流用し、土地や建物など30件の基本財産を購入した上で、これらを法人名義で登記した。
広さはおよそ5万平方メートルに上る。
これらの土地や建物のうち、165億5000万ウォン(約12億円)分はキャンパスから遠く、教育施設として利用することができない場所にある。
法人は現在、これらの土地や建物を理事長の私邸や商業ビル、幼稚園などとして活用している。

韓国の私立大学の支出項目のうち、人件費も非常に大きな比重を占めている。
延世大学の昨年の支出内訳では45%が教職員の給与だった。
それ以外の大学では高麗大学が39%、西江大学38%、成均館大学44%、梨花女子大学は37%だった。

2006年の韓国の各大学の教育費に人件費が占める割合は42.7%で、OECD平均の61.5%に比べ低かった。
これについてソン・ギチャン教授は
「これは教職員の給与の額が低いためというよりも、大学の教職員数が学生の数に比べて少ないのが原因ではないか」
と指摘する。

財政収入そのものに学生からの納付金が占める割合が非常に高いことも、韓国の私立大学の特徴だ。
私立大学の2009年度統合会計(教育会計+産学協力団会計)決算によると、韓国の私立大学の財政収入は総額24兆4501億ウォン(約1兆8145億円)だったが、そのうち納付金は12兆7091億ウォン(約9432億ウォン)で全体の52%を占めた。
統合会計のうち校費会計だけで見た場合、納付金の割合は63.5%に高まる。
それ以外では国庫補助金(政府からの支援)が2兆8291億ウォン(約2100億円)、教育付帯収入が2兆1432億ウォン(約1590億円)、転入金(法人や財団からの支援)1兆3445億ウォン(約998億円)、寄付金5812億ウォン(約431億円)の順だった。

一方で米国の私立大学では、学生からの納付金が占める割合は韓国の半分ほどの26%で、投資収益が30.7%を占めている。
また、寄付金も韓国の4.6倍に当たる11.1%で、政府からの支援も12.3%と韓国を上回っていた。

















記事入力 : 2011/06/10 15:05:43
http://www.chosunonline.com/news/20110610000057

日本の大学に見る財政難
米国では投資収益の割合増

日本は、大学の財政状況が韓国と一番よく似ている国だ。
韓国のように私立大学が全大学の77%を占める上、大学の財政における入学金・授業料依存度も、韓国(52%)並みに高い。
2007年基準で、日本の私立大の収入全体のうち、56.6%は学生が納める入学金・授業料だった。
残りは、寄付金(2.9%)、補助金(10.6%)などだ。
支出で最も多いのは人件費(52.6%)で、教育研究経費(36.9%)がこれに続いた。

日本の大学は、1980年代から始まった少子化現象で危機を迎えた。
青年人口は減り続けるのに対し、私立大学は「雨後のたけのこ」のように次々とできたからだ。

ついに2007年には、大学入学定員が新入生の数より多いという「大学全入時代」が到来し、各大学は定員割れで財政難に直面した。

08年には全私立大学559校中、40%程度が定員割れとなった。
韓国の専門大学に相当する短期大学の場合、62%が定員割れだった。
入学金・授業料だけに期待してきた各大学で、学生からの収入が消えたらどうなるか、その結末を示すケースだ。

その後、日本の大学は収入構造を多様化していった。
まず、研究費の収入を増やすため、企業との共同研究に競って乗り出している。
その結果、各大学の受託研究件数は03年以降一貫して増えている。
特許の件数も増加傾向にある。
このほか、投資収益、寄付金集めにも積極的に身を投じた。
「日本私立学校振興・共済事業団」は、同窓会を活性化し、基金を集める活動で収入を増やし、人事制度を改革して人件費を削減するという内容の大学財政改革案を発表している。

米国の大学では、大学の収入に占める投資収益の割合が増え、授業料が減る傾向が徐々に強まっている。
米国の私立大404校の財政構造を分析した韓国教育開発院の報告書によると、03年以降、各大学の授業料収入の比重は一貫して減っているが、逆に投資収益や販売収益は高まる一方だった。
各大学が学生の授業料に依存せず、積極的に基金を集めるなど、別の収入源を探すため努力したからだ。

米国の多くの大学は、寄付金を募集し管理する専門の組織を置いている。
ハーバード大学の場合「ハーバード経営会社」という組織が寄付金関連の資産を管理している。
寄付金の累積額が349億ドル(約2兆7958億円)に達するハーバード大学は、この寄付金を運用して年間13.8%という高い収益率を上げ、学生たちに再投資している。

ケンブリッジ大学やオックスフォード大学など英国の大学は、政府からの補助金の比率が高いことが特徴だ。
07年のイギリス各大学の収入のうち、 36.6%は政府交付金で、授業料は26.7%、研究助成金は15.9%、寄付金・投資収益は2.1%だった。
一方で支出は、人件費が57.4%で半分以上を占めた。

























【補】



記事入力 : 2011/05/29 07:48:13

http://www.chosunonline.com/news/20110529000013

韓国の大学進学率82%、
OECD加盟国で最高レベル

「大学授業料半額」で学生が増えれば青年失業者問題が悪化する可能性も

昨年、韓国国内の一般系高校の卒業生の大学進学率は82%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち最高のレベルに達した。
高卒者10人のうち8人以上が大学に進学している。

 ▽.欧州では大学進学率が40%、
 ▽.米国は同60‐70%台、
 ▽.日本は50%台だ。

しかし、韓国は職業教育を行っている実業系高校でも70%以上が大学に進学している。

1990年代半ばに大学の設立が自由化されてから、大学生の数が急増した、と教育界ではみている。
実際、大学生の数は99年度の159万人から2010年には203万人と25%以上増加した。

このように高等教育を受けた学生は大幅に増加したが、企業での大卒者の需要はあまり変化していないことから、高学歴者の就職難が深刻化している。
教育科学技術部(省に相当)の統計(2009年)によると、全国の大学205校のうち、148校で正規職への就職率が50%に達していなかった。
そのため、せっかく大学に進学しても卒業の時期を遅らせ、社会進出を先送りしたり、生活苦に陥る学生が増えている。

専門家たちは、大学授業料の半額引き下げで大卒者が爆発的に増加すれば、青年失業者問題がさらに悪化すると予想している。



教育熱が激しいというのは、いろいろな問題があるようです。
でも、大学進学率「80%」というのはあきらかに異常です。
5人に4人が大学をでたら、やはり就職先はなくなってしまうでしょう。
高学歴の失業者が増える というのは、社会不安を増大させます。
ちょっと心配なのですが。



そしてついにデモになった。
「時事.com」より。


時事.com (2011/06/10-22:04)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011061000866

高額授業料に不満、大規模デモ
 =5000人が引き下げ要求-ソウル




【ソウル時事】授業料の引き下げを求め、韓国の大学生らが10日夜、ソウル中心部で大規模なデモを行った。
高額授業料への学生や父母の不満は強く、2008年の米国産牛肉輸入再開に対する抗議デモの再来を懸念する声も上がっている。
来年の総選挙や大統領選に向けた大きな争点になる可能性もある。
デモには野党各党の代表や左派系団体関係者らも顔をそろえ、KBSテレビによると約5000人(警察推計)が参加。
学生は火をともしたろうそくを手に、「学費を下げろ」と気勢を上げた。

韓国では02年の国公立大の授業料自由化以降、大学全体の授業料が急激に上がり続けている。
10年の経済協力開発機構(OECD)の調査によると、韓国の私立大の年間授業料は平均8519ドル(約68万円)と、購買力を加味すれば米国に次ぎ2番目に高い。
韓国メディアは、授業料を稼ぐためにアルバイトに明け暮れる学生や、収入の4割が子供の学費や家賃に消える父親の不満を報道。
教授らの過度の好待遇や、大学側が授業料の多くを財団の積立金に充てている実態も連日伝えている。



朝鮮日報に戻ります。
連日の大学事情の記事。
ついに、大きな政治問題にまで進展してしまった。


記事入力 : 2011/06/11 10:58:17
http://www.chosunonline.com/news/20110611000023

「大学授業料半額引き下げ」要求デモに5000人=警察発表
主催側主張「2万人」

「授業料半額引き下げ」の実現を要求する大学生や市民など約5000人(警察発表、主催者推計2万人)は10日午後8時から10時30分まで、ソウル中心部で集会を開催した。

「21世紀韓国大学生連合(韓大連)」所属の大学生や民主党・民主労働党など野党4党は同日、ソウル・清渓広場で
「無条件での授業料半額引き下げを直ちに実施せよ」
と要求する集会を行った。

同日午後5時から清渓広場に集まった人々は、午後8時ごろ清渓川周辺の4車線道路約300メートルを埋め尽くした。
集会参加者は「(学費の負担が大きすぎて)親の腰が曲がってしまう。
授業料半額引き下げを実現せよ」「李明博(イ・ミョンバク)大統領は授業料半額引き下げの公約を守れ」などとスローガンを叫んだ。

孫鶴圭(ソン・ハッキュ)民主党代表や李正姫(イ・ジョンヒ)民主労働党代表など野党4党の関係者も集会に出席した。
孫代表は「授業料半額引き下げを実現させる」と述べた。
警察は71中隊約5000人を清渓広場周辺に配備、バス約40台で集会会場を取り囲んだ。

集会終了後、約2300人は午後11時30分から広橋交差点の8車線道路を占拠、街頭デモを行い、周辺道路が渋滞した。
大学生72人は大統領府近くのソウル市鍾路区清雲洞住民センター周辺で無許可デモを行い、全員連行された。

高麗大学や西江大学などソウル市内の4大学で8日から実施していた「授業料半額引き下げ集会のための同盟休業(授業ボイコット)」投票は、投票率が各大学で21-35%に過ぎず、事実上無効になった。



記事入力 : 2011/06/11 11:08:57
http://www.chosunonline.com/news/20110611000027

欧州では苦学生への優遇増で財政悪化

大学に対する大幅な政府予算支援は、フランス・ドイツ・イギリスなど欧州諸国が元祖だ。
しかし、そうした国々でも最近は高等教育に対する政府予算を削減する傾向にある。
大学や大学生の「モラルハザード(倫理観の欠如)」がその原因だ。

大学の無償教育を推進してきたドイツだが、いわゆる「万年大学生」問題に頭を痛めている。
ドイツの大学生には、授業料免除のほか、低所得世帯の学生に対する生活費低利融資・公共料金割引・アルバイト収入の所得税免除といった優遇が与えられているが、卒業しない学生が増え社会問題になった。
そうして、政府の財政悪化が深刻になったことから、バイエルンやハンブルクなどでは2000年半ばから、大学生たちに毎学期最高500ユーロ(約5万8000円)の授業料を支払わせている。

フランスでも、授業には出ていないのに、交通料金・映画料金の学生割引や家賃補助措置などを受ける大学生が、全大学生の10-20%を占めている。
フランス政府も07年、これまでの「まず支援ありき」だった大学財政を改革する方針を発表している。
政府予算が大学収入の36%を占めていたイギリスでも、財政赤字が雪だるま式に増えたことから、大学に対する補助金を削減することを昨年発表した。



記事入力 : 2011/06/11 11:08:20
http://www.chosunonline.com/news/20110611000025

大学授業料、本当に半額にできるのか
年間3兆ウォン、増税か福祉の削減か

与野党が提案している「大学授業料半減」を実現させるのは予想以上に難しいようだ。

まず、大学の力だけで実現させるのは不可能だ。
寄付金などを集めるとしても、短期間でそれに代わる財源を得るのは難しく、これまでためてきた積立金を使うとしても、その効果は長続きしないからだ。
最終的には巨額の税金を投入するしかないが、これに対する国民の合意はまだ形成されていない。
納税者からは
「なぜ他人の子供が通う大学の授業料まで負担しなければならないのか」
という不満が出てきそうだ。

ソウル市内のある私立大学教授は
「授業料を半分にするには、さまざまな利害関係が複雑に絡み合ってくる。
ところが議論が煮詰まっていない状態で政界で取り上げられたため、結果的に大きな混乱を招いている」
「授業料を半額にするには、それを埋め合わせるための予算がどれだけ必要か。
まずはこれを合理的に算出するための十分な議論が必要だ」
と述べた。

■積立金を活用しても効果は限定的

与党ハンナラ党と教育科学技術部(省に相当)が10日に発表したところによると、現在、大学生の数は専門大学(短期大学に相当)を含めると330 万人いるが、彼らが1年間に支払う授業料などの納付金は14兆4000億ウォン(約1兆660億円)だ。
そのうち国からの奨学金と各大学の奨学金で4兆ウォン(約3000億円)が支援されているため、残りのおよそ10兆ウォン(約7400億円)は家庭が負担していることになる。

政府とハンナラ党は授業料総額の半分に当たる7兆ウォン(約5200億円)を政府や大学が負担すれば、学生や親の負担が半減できるとしている。
そのため奨学金などですでに支援されている4兆ウォン以外に、3兆ウォン(約220億円)の追加財源を検討している。

学生や市民団体は
「大学の積立金を充てれば授業料は減らせる」
と主張する。
2009年の時点で、全国およそ200校の私立大学のうち、積立金が1000億ウォン(約74億円)以上の大学は17校、500億ウォン(約37億円)から1000億ウォンの大学は29校ある。

これに対してソウル市内のある大学教授は
「大学の積立金は使い道がほとんど決まっているため、これを授業料引き下げのために使うには限界がある」
と指摘する。

別の私立大学の企画室長は
「経常費を最大限減らせば、学生の負担を軽減することができる。
額にすると、5%前後の授業料引き下げ効果があるだろう」
と語る。
しかし、積立金を使って奨学金を増やせる大学は、200校のうち30校から多くても40校ほどで、やはり限界があるようだ。

■高卒者が支払う税金で大学生に勉強させるのか

結論として授業料を半額にするには、税金を投入するしかないことになる。
与党の一部グループが提示する案は、必要な財源3兆ウォンのうち2兆ウォン(約1500億円)は税金から、残る1兆ウォンは大学への寄付金でまかなうというものだ。
ハンナラ党は大学への寄付金を増やすため、税控除の対象を10 万ウォン(約7400円)にまで引き下げる案をとりまとめている。
税控除によって寄付金を増やすのは、政府にとってはそれだけ税収減となるため、税金で支援するのと事実上同じ意味合いとなる。

しかし、3兆ウォンの税金を投入することの最も大きな問題は、これによって別の教育予算や福祉予算を減らさざるを得ないという点にある。
今年に入り、進歩陣営・左派陣営は一斉に「学校給食の無償化」を掲げており、学校現場では施設整備や英語教育、理科室などの予算が大幅に減らされた。
同じように大学授業料半減のために予算が投入された場合、低所得層の小中高校生向け英語プログラムなどが縮小を余儀なくされるかもしれない。

教育科学技術部(省に相当)の関係者は
「大学に投入する予算を増やせば、最終的に小中高校の予算を減らすしかない。
高校さえ義務教育化されていない今の状況では、政策の順序がおかしいのではないか」
と指摘する。

韓国は高校卒業者の80%以上が大学に進学する「高学歴社会」だ。
しかし家庭の経済状況が厳しいため、高校卒業後すぐに就職するケースも決して珍しくない。
彼らが、自身の通わない大学の授業料を支払うため、自分たちが支払った税金を投入することに納得するだろうか。
この点も、税金投入に当たっての疑問点として指摘されている。


なにしろ「高校卒業者の80%以上が大学に進学する」という、 
常識を超えた社会
をなんとかしないことには、解決の糸口は見えてこないのではないだろうか。





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