2011年6月9日木曜日

「魔法の遺伝子」

_



















● ips細胞 文部科学省ページより



MBSニュース 2011年06月09日(木) 18時56分    
http://www.mbs.jp/news/kansaiflash_GE110609162400463598.shtml
   
■京大・山中教授グループ 安全性の高い「IPS細胞」成功

様々な組織の細胞に変化できるiPS細胞の”生みの親”、京都大学の山中教授のグループがまた新たな発見です。

再生医療への応用を目指す上で指摘されてきたがんのリスクをぐっと減らし、効率よくつくる画期的な方法です。

京大の山中伸弥教授と前川桃子助教らの研究グループが発表したのは、「グリス1」と呼ばれる、受精卵に特に多く見られる遺伝子を使った方法です。

iPS細胞はもともと体の細胞に3~4種類の遺伝子を組み込んで作りますが、そのうちのひとつはがんの遺伝子で、iPSの作製効率はあがるものの80パーセントががん化する恐れがある不完全な細胞でした。

今回、その遺伝子を「グリス1」に置き換えることで正常なiPS細胞ができる割合が100パーセントになる実験結果が得られたということです。

「安全の面で(今回の発見が)医療の方で進歩が見られたらいいなと考えている。大きな一歩になるんじゃないかと期待してます」(京都大学 前川桃子助教)

山中教授は「魔法の遺伝子だ」と話していて、再生医療への応用が大きく近づいたともいえそうです。





ips細胞とは。


文部科学省 ips Trend
http://www.ips-network.mext.go.jp/about/story/no06.html

第6回 iPS細胞、待望の誕生-1 iPS細胞の誕生
掲載日:2009年4月20日




2006年8月10日、世界トップの学術誌「Cell」に「マウスの皮膚細胞に4個の遺伝子を導入し、多能性幹細胞をつくった」という論文が掲載されました。
京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授が取り組んできた研究が実を結び、世界で初めての人工多能性幹細胞「iPS細胞」誕生が報告された瞬間です。
今回は山中教授がiPS細胞開発に至った経緯を追ってみましょう。

山中教授の研究は
「マウスの分化した体細胞とES細胞(第5回参照)を電気的に融合させたところ、体細胞が多能性(第3回参 照)を獲得した」
という、同研究所の多田高准教授が行った実験結果からヒントを得ています。
この実験結果から山中教授はES細胞の中には分化した細胞を多 能性にする何かが存在しているのではないかと考え、ES細胞の中で働き、分化した細胞では働いていない遺伝子のリストアップにとりかかりました。
ヒトの遺伝子は2万2千個を超え、それぞれが多能性に関わっているかを判定していく実験は気の遠くなる作業です。
そこで独立行政法人理化学研究所が公開しているマウスの遺伝子公共データベースを活用し、データベース上でマウスのES細胞で働き、分化した細胞で働いていない遺伝子を抽出した結果、100個程度までに候補を絞り込むことができたのです。

その後、特定の遺伝子を破壊した実験用ノックアウトマウスを使ってこの100個の候補遺伝子の働きを調べ、候補遺伝子をさらに24個までに絞り込みまし た。
次にこの24個の遺伝子すべてを、遺伝子の運び屋「レトロウイルスベクター」を使ってマウスの皮膚細胞に送りこんだところ、見事に皮膚細胞は初期化さ れ、ES細胞と同じく多能性を持った細胞を作りだすことに成功したのです。

この24個の遺伝子を一つずつ皮膚細胞に導入して細胞が初期化されるかを検証しましたが、どの遺伝子も単独で細胞を初期化することは不可能でした。
そこで 24個の遺伝子から一つずつ抜いた23個の遺伝子を皮膚細胞に導入し、細胞が初期化されない場合は抜いた遺伝子が細胞の初期化に必須の遺伝子である可能性 が高いという考え方により、遂に細胞の初期化に必要な、たった4個の遺伝子を特定することに成功したのです。

その遺伝子とは、
「Oct3/4(オクトスリーフォー)」、
「Sox2(ソックスツー)」、
「Klf4(ケーエルエフフォー)」、
「c- Myc(シーミッ ク)」
の4つで、ヤマナカファクター(山中因子)とも呼ばれています。

この4個の遺伝子を分化した細胞に導入すると、細胞の初期化がおこり、ES細胞と同 じく多能性を持つ細胞が作り出せることが実証されました。
こうして、山中教授は細胞の初期化を引き起こす遺伝子を突き止め、人工の多能性幹細胞「iPS細胞」が誕生したのです。

次回は共に多能性を持つES細胞とiPS細胞を比較し、今後の再生医療界を見通します。お楽しみに!



asahi.com     2011年7月11日23時46分
http://www.asahi.com/science/update/0711/OSK201107110160.html


● 欧州で成立した京都大の特許

京都大学は11日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)をつくる技術の特許が欧州で成立したと発表した。
国内での特許はすでに成立し、国外では4番目。
iPS細胞作製に使う遺伝子の種類が、国内特許よりも広い範囲で認められた。

山中伸弥・京都大教授が開発したiPS細胞の特許をめぐり、激しい国際競争になっている。
最大の市場である米国では1月、特許争いをしていた企業から京都大が譲渡を受けた。
審査は終盤に入り、年内にも成立の見通しという。
「本家」の京都大が国際的な主導権を確保しつつある。

権利期間は国際出願した2006年12月6日から20年間。
今年5月30日に認められ、8月に欧州特許庁に登録され、英独仏など主要17カ国で登録する予定。




 ◇ ヒマつぶし検索 


_