2011年6月30日木曜日

北海道警察:日本で一番悪い奴ら

_







BLOGOS 2011年06月29日17時18分
http://news.livedoor.com/article/detail/5672754/

北海道新聞はおかしくないか、他紙も見て見ぬふり? - 柴田鉄治

6月18日の朝刊の社会面に小さな記事が載った。
朝日新聞も読売新聞も毎日新聞も、どこもベタ記事だったから、気がつかなかった人も多いに違いない。
北海道警の裏金問題について書かれた2冊の本の記述に名誉毀損の部分があると、元道警総務部長が北海道新聞社と2人の記者、それに出版社を訴えていた訴訟に対し、最高裁が上告を棄却して道新などの敗訴が決定したという内容である。

3紙の記事とも詳しい経緯の説明もなく、
72万円の支払いを命じた2審の判決が確定した
という骨子だけの記事だから、これまでの動きを詳細に追ってきた人以外は、何のことかさっぱり分からなかったに違いない。

たまたま私は、この訴訟の背景にある事実を知って
「日本のジャーナリズムにとって重大な問題だ」
と注目してきたことなので、この機会にその事実を皆さんに伝え、皆さんにも一緒に考えてもらいたいと思う。

話は7年前にさかのぼる。
北海道新聞は、2003年から04年にかけて道警の裏金問題を徹底的に暴く大々的な調査報道を展開した。
裏金とは、正式の予算として認められている、たとえば捜査報償費などの項目を予算通り使用したように見せかけて、他に流用することだ。
これまでにも全国各地の警察で時々、明るみに出た問題である。

裏金の目的は、飲み食いなどの私的な流用もあるだろうし、転勤者への餞別などにも使われていたようだ。
「不正を取り締まるべき警察が裏金づくりとは」
と明るみに出るたびに大きな話題にはなってきたが、それ以上には進まなかった。

ところが、北海道内で抜群の力を持つ道新が、全力を挙げて取り組んだ裏金キャンペーンだけに成果も大きかった。
03年11月、ついに道警本部が組織的な裏金づくりをしていたことを認め、警察官らが自腹を切って
合計9億6000万円のカネを国庫や道に返済する
とともに道民に謝罪した。
組織的な裏金づくりを公式に認めた全国初のケースとなったのだ。

この偉大なジャーナリズムの成果は、2004年度の
新聞協会賞をはじめ、
日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞、
菊池寛賞、
新聞労連ジャーナリスト大賞
など、ジャーナリズムに関する賞を総なめにするという輝かしい結果となって現れたのである。

ここまでは「さすがは道新だ!」という絶賛の声が全国に鳴り響いたのだった。
が、そのあとがいけなかった。
恐らく、この道新の輝かしい成果に対して道警側が「報復的な行動」に出たのだろう。
道新だけには教えないといった嫌がらせがつづき、それに悲鳴を上げた道新側が毅然とした姿勢をとらずに、道警との「関係修復」に動いたようなのだ。

05年7月から06年5月にかけて道新の編集幹部と元道警総務部長が30数回にわたって密かに会談したことが、のちに明るみに出る。
この会談で、道新側から「どうしたら許してもらえるか」といった奇妙な問いかけまであったようなのである。

この会談と併行するような形で、道新側の不可解な動きが次々と出てくる。
06年1月に、9ヶ月も前の記事に対する訂正記事が突然出て、編集局長や裏金取材班が処分されたり、裏金取材班の主要メンバーを次々と人事異動したり、したのだ。

06年5月に、元道警総務部長が起こした名誉毀損の裁判も奇妙なものだった。
講談社から出た『追及・北海道警「裏金」疑惑』と


旬報社から出た『警察幹部を逮捕せよ!
 
のなかに出てくる「総務部長が本部長から叱責された」という部分に限っての訴えなのだ。

いずれも出版されてから2年も経ってからの訴えであり、その間に、出版社への抗議なども一切なかったというから不思議である。
しかも、総務部長が本部長から叱責されたそもそもの原因が、裏金問題について「知事が調査すると答弁しないように」と道庁幹部に頼んだことだったというのに、その事実を大々的に報じた道新の記事は、裁判の対象からはずすという奇妙な訴訟だったのである。

この裁判の判決にもいささか首を傾げざるを得ないが、それよりなにより理解に苦しむのは、自社の輝かしい報道の成果を自ら貶めるという道新幹部の行動である。
メディアの調査報道によって不祥事を暴かれた権力や組織が、報復の脅しや嫌がらせをするケースは珍しいことではなく、それに対して最も大事なことは、当のメディアの幹部がいささかも揺らぐことなく、毅然とした姿勢を保つことだ。

米ワシントン・ポスト紙のウォーターゲート事件報道で、ニクソン政権からさまざまな脅しや嫌がらせを受けた同社のグラハム社主が
「私が刑務所に行けばいいのでしょ」
と平然としていたという話は有名だ。

また、道新に対する道警のあからさまな嫌がらせをそばで見ていながら、見て見ぬふりをしている他紙の姿勢も、いただけない。
特ダネ競争は競争として、権力と闘うときにはメディアの連携が重要だ。

メディアの連携といえば、米ニューヨークタイムズ紙のペンタゴン・ペーパーズ報道で、政府から掲載を止められるやワシントン・ポスト紙やロサンゼルスタイムス紙が次々とリレー掲載した話を思い出すが、何もそこまでいかなくとも、道新の孤立化を黙ってみていることはなかったと思う。

ところで、こうした道新の「変身」ぶりに嫌気がさしたのか、裏金取材班のデスクとして中心的な役割を果たしてきた高田昌幸氏が、この6月いっぱいで途中退社するという。
社内に残って闘ってほしかったが、前途に希望が見出せなかったのだろう。
政治家の介入によるNHKの番組改変事件で、内部告発や法廷証言などで闘った永田浩三氏や長井暁氏らも相次いで途中退社している。

こんなことで日本のジャーナリズムは大丈夫なのだろうか。

もちろん、戦後の日本のジャーナリズムの歴史に燦然と輝く、あの道新ともあろうものが、こんなことで魂を失うとは思いたくない。いや、必ず立ち直ると、私は信じているが…。



Wikipediaより

北海道警裏金事件

北海道警裏金事件(ほっかいどうけいうらがねじけん)とは、2003年11月に北海道警察旭川中央警察署が不正経理を行っていたことが発覚し、後に各部署、各課、各警察署(厚別警察署、手稲警察署を除く)でも同様な事が発覚し関係幹部が大量処分された事件である。
この事件を発端に立て続けに各地の警察本部でも同様なことが判明し、幹部らが懲戒処分を受けている。

■事件の内容
この事件の特徴は、捜査協力者がいたことにして、その費用を本部に請求し、その費用を警視以上の幹部が私的流用していた点である。
また、偽領収書を作成もしていた。

主に裏金作りをしていたのは本部の次席や管理官、署では次長又は副署長が担当していたが、自らも裏金を受け取っていた。
2003年11月28日には、時の警察本部長・芦刈勝治警視監(07年2月警察庁辞職)が定例会見で「不正経理の事実はない」と否定した。
高橋はるみ道知事はこれを受けて「疑惑を否定した道警本部長の発言は重い」と疑惑を否定する道警を支持するコメントを発表し、道としてこれ以上の真実追及は行わずに幕引きを計ろうとした。
この高橋知事の方針は各種メディアや道民から強い批判を受け、後に市民オンブズマンが中心となり追求が行われ、道議会でもこの件が取り上げられるようになり、年が明けた2004年にようやく高橋知事や道警本部長が重い腰をあげ、内部調査に着手した。
また北海道新聞が2003年から特集を組んで追及を開始している。

2004年2月になって、元釧路方面本部長原田宏二が、
「自分が退職するまでは裏金が存在していた」
と告発し、更に翌月には、弟子屈警察署次長を最後に退職した元警部が長年にわたり裏金作りをしていたことを告発し、後に元生活安全部長も同じようなことを告発した。

これを境に道警は更なる内部調査を行ったが現在でも事実解明をしているとは言いがたい。
内部調査メンバーはいずれも副署長や次席を経験した幹部ばかりであった。
しかも、後の調査結果の発表では当時の本部長や警務部長、総務部長のいずれも「私的流用はなかった」と発言したが、告発した二人は
「私的流用は間違いなくあった」
と言うなど食い違いが見られた。

2004年8月には、興部警察署長が裏金問題のために自殺した。
遺書では「自らも裏金を作り受け取っていた」と書かれていた。
冬頃には北見方面本部警備課でも裏金疑惑が浮上し、2004年12月になり内部処分を発表した。
処分者数は3,235人で、懲戒処分が 98人、減給は86人、戒告11人、内規処分が本部長をはじめ137人、更に2750人が口頭厳重注意や口頭注意で最も重かったのが停職1ヶ月(1人)で、日本警察史上、北海道道警史上初の大規模不祥事事件の割には軽い処分であった。
この事件での裏金総額は2億5600万円で、2004年12月に道に返還した。

■事件後の動き
2005年1月には民主党の代議士の03年北海道知事選次点の鉢呂吉雄及び(鉢呂と90年衆院初当選同期で同じ横路グループ幹部)旭川弁護士会会長経験者佐々木秀典が元道警幹部や現職を幹部7人を「業務上横領」で刑事告発をしたが不起訴になり、2006年に検察審査会で起訴相当との結論が出された。

2005年4月、北見方面本部の警備部警備課で元課長が偽造領収書を会計検査院に提出したとして、有印私文書偽造・同行使と偽計業務妨害容疑で書類送検された。

2007年8月、98年から99年にかけて本部刑事部捜査第二課での捜査費、捜査報償費の不正使用に関して警察庁は当時の課長だった警視正を長官訓戒処分とした。



● 北海道警察日本で一番悪い奴ら 織川 隆著:講談社




 ◇ ヒマつぶし検索 



_