2011年6月17日金曜日

歴史上類を見ない“奇怪な大国”

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● 「世界経済のネタ帳」より



サーチナニュース 2011/06/17(金) 17:33
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0617&f=column_0617_010.shtml

【コラム】 中国の貧困 世界2位の経済大国が直面するジレンマ

中国は経済規模において1990年代以降、驚異的なスピードで世界の先進国を次々に追い抜いてきた。
2000年にはイタリアを抜いて世界6位となり、05年にはフランスと英国を抜いて世界4位となった。
そして07年にはドイツを抜き世界3位に躍り出た。

そして2010年には、中国はついに
42年もの長い間、世界2位の座をキープしてきた日本
を追い抜き、アメリカに次ぐナンバー2にまで上り詰めた。
経済成長の勢いからして日中両国の順位は早晩逆転するという見通しがあったため、日本国中は一時騒然にはならなかったものの、いざ厳しい現実に直面すると、やはり政治家をはじめ産業界、マスコミ、一般の国民は大きな衝撃を受け、
中国に負けた
と大いに肩を落としてしまった。

しかし、そんな中国は意外な一面が隠されている。
つまり、史上もっとも貧しい「世界2位」ということだ。

2010年8月17日、中国中央省庁の一つである商務部の姚堅報道官は定例記者会見で中国が日本を抜いて世界2位になるとの報道をめぐり、次のように述べた。

「GDPデータというのは一面的なものであり、国の経済力の一端を反映するに過ぎない。
われわれは国内総生産のデータに注目するだけでなく、1人あたりのデータにより注目しなくてはならない」

中国の1人あたりGDPはわずか3800ドルで、世界ランキングは105位前後だ。
中国にはなお、国連がいうところの
1日1ドル以下の収入しかない人が1億5000万人
おり、これこそが中国の現実だ。
こうした人々の存在には、1人あたりGDPが世界100位以下であり、大量の貧困人口を抱える発展途上国であるという中国の現実がより正確に反映されている。
年間収入1300元(約1万6250円)を貧困ラインとしても、なお4000万人あまりの貧困人口が存在する、というのが中国の現実だ」

しかし、残念なことに、こうした中国政府も素直に認めている中国の現実は日本においてとりわけマスコミのなかで、ほとんど日中逆転という大雑把な結果論に埋もれている。
この影響で、中国を過大視する傾向は一層加速され、まるで中国はすぐにも世界のスーパーパワーになるような見方が支配的となった。

これは明らかな誤解だ。
中国のGDPの急拡大はその膨大な人口数が支えているため、1人あたりに換算すると、世界順位は一気に下落し、後進国の部類に入ってしまう。
中国は日本の11倍弱の人口を抱えているため、1人あたりGDPが日本の11分の1に達しさえすれば日本の経済規模を上回ることができる。

国際通貨基金(IMF)のデータによると、09年中国の1人あたりGDPは3566ドルで、世界99位だった。
日本は16位で1人あたりGDPは3万9573ドル、中国の10倍以上となっている。
世界の1人あたりGDPは8000ドルで、中国は世界平均のわずか45%である。

一般庶民にとって、国民の1人あたりGDPの方が国全体のGDPよりはるかに重要だという指摘はすでに多くの専門家の間で行われている。

中国は世界2位の「栄冠」を手に入れても、史上最も貧しい「世界2位」の国といえる現状は同時に解消されたわけではない。
逆に、中国はこれから「世界2位」という新しい肩書きにどう向き合うべきかというかつて経験したことのない大きな課題を背負い始めたといえる。

中国にとって大きなジレンマは、まさに経済規模と経済水準の乖離だ。
経済規模は世界2位になったが、経済水準は先進国ではなく、依然として発展途上国にとどまっている。
ところが、これまでの前例では、経済規模の上位国はすべて先進国であった
アメリカ、日本、ドイツ、フランス、イギリスなど、例外なく先進国である。
中国はここ数年間、高度経済成長で経済規模がこれらの先進国を次々に抜いていき、ついに世界2位の座を手に入れた。
一方、中国の経済水準は発展途上国のままで、先進国レベルに達していないだけでなく、先進国レベルにはまだ相当の距離がある。

世界規模でみれば、中国は世界人口の約20%を擁しながら、産み出す富は世界の10分の1以下である。
GDPの1人あたり平均は世界平均の半分にも及ばない。世界の中位レベルにもまだこれほどの距離がある。
1人あたりGDPが世界平均を超えなければ、国民の生活水準は世界の中レベルに達したとはいえない。
また中国の経済・社会の発展には明らかな地域格差があり、環境保護と経済発展との歩みはバラバラで、所得分配は著しくバランスを欠いている。
こうしたことはいずれも発展途上国に典型的にみられる特徴である。

中国の人口規模、国民1人あたりの平均指数、地域間の格差といった制約要因は今後長い間続く。
中国はかりに一部の予測通りに、先10年でアメリカを抜き、世界1位になったとしても、発展途上国から一気に先進国になるはずがない。
貧困との闘い、所得格差の縮小、環境の保護、社会の安定、政治の民主化等々、依然として中国の未来数十年間の最重要課題である。

なかでは、とりわけ見過ごしてはならないのは、商務部の姚堅報道官が強調したように、経済の高度成長がずっと続いているにもかかわらず、依然として膨大な数の貧困人口を抱えているという中国の現実だ。
今後、恐らく数十年間にわたって貧困との格闘を続けていかざるをえない、これはまさに経済大国中国の宿命だといえよう。

次回は、貧困人口を数える基準である貧困ラインの引き上げをめぐる近年の動向を紹介、分析する。
(執筆者:王文亮 金城学院大学教授  編集担当:サーチナ・メディア事業部)




ウオールストリート・ジャーナル 2011年 6月 16日  18:26 JST
http://jp.wsj.com/Economy/node_250732

【コラム】中国の奇跡が抱える3つの矛盾

中国が「経済の奇跡」であるのは紛れもない事実だ。
中国は、対外開放政策を始めて以来、国民の生活水準を10年ごとに倍増させた。
これは、最も高い成長を謳歌した時代に米国が約30年かかったことだ。
だが今、その中国経済の基盤に亀裂が生じつつある。
3つの矛盾、とでも言うべきか。

第1の矛盾。
中国の指導部は、賃金上昇を継続し、大衆の期待に応え続ける一方で、成長速度を鈍化させ、インフレを抑える方針だ。
これは、どんな政府にとっても難問だ。
支配力の喪失を恐れるあまり、市場に多くの仕事を任せたがらない政府にとってはなおさらだ。

いまだマルクスとエンゲルスの像が立つこの国で、賃金の所得に占める割合が縮小、貧富の差は拡大しており、消費拡大の糸口を見つけるのは容易ではない。
中国には小売店がたくさんがあるが、その多くは博物館のようだ――人々は見るだけで買わない。

労働力への需要は強く、賃金はさらに上昇している。
これは、中国の指導部が重んじる社会の安定の維持と、中国の輸出依存回避に不可欠な個人消費拡大を進めるうえで重要だ。

これまでのところ、問題はない。
しかし、賃金の上昇が、中国の工場の競争力を低下させているように思える。
その証拠として、米衣料大手ギャップの中国店舗で売られているTシャツには「マレーシア製」と書かれている。
一番安い歯ブラシはベトナム製だ。

解決策は、より付加価値の高い生産とサービスへの移行だ
そのためには、現在よりも大規模で、質の良い、自由な教育システムが必要だ。
ある当局者によれば、現在の教育システムでは、ソビエト方式の運営モデルが科学研究を妨げており、子どもに海外教育を受けさせる中国のエリート層は自国の教育を避けている。

第2の矛盾。
中国政府関係者の間で最近盛り上がっているのが、ほとんど国内でのみ使われている人民元の「国際化」だ。
これは国家のプライドであり、自国通貨で取引がしたいという貿易関係者の願いでもある。
また、万が一、新たな金融危機が起きた場合には、米国のように自由に安く海外から資金を調達できれば、という中国の思いでもある。

これまでのところ、うまくいっている。
しかし、預金者がインフレ分を吸収できないほど金利を低く抑える政策を中国がやめないかぎり、人民元の国際化は無理だ。
世界を相手にするということは、経済をグローバル市場にさらすことなのだ。

一部の当局者は、超低金利の危険性を認識している。
中国人民銀行(中央銀行)の次期総裁に就任する可能性もある中国建設銀行の郭樹清会長は、
「コントロールがきかなくなる前に、実質マイナス金利について対策を打つ必要がある」
とインタビューで述べた。
郭氏は、
「多くの人が、預金は無駄だと思い、金や銀といったものに殺到している。
多くの人が不動産を買っているが、家が必要なわけではない。
投資のために買っている」
と指摘した。

確かに中国では、金持ちは第3、第4のマンションを買い、投機を行っている。
一方、価格高騰で家を一軒も持てない人もいる。
中国の資産バブルは、米連邦準備理事会(FRB)ではなく、中国の金融政策によってもたらされている。

米金利が低いのは、FRBが借り入れを刺激しようとしているからだ。
中国の中銀は借り入れの減少を望んでいるが、政治力のある企業と政府の借り手が金利の引き上げを阻んでいる。
著名エコノミストのヌリエル・ルービニ氏は、中国の政策を
「政治的に弱い家計から政治的に強い企業への大規模な所得移転」

であると指摘。
「つまり、弱い通貨は輸入を割高にし、低い預金金利と企業、デベロッパーへの低い貸出金利は、結局、預金を圧迫することになる」
と述べた。

人民元を国際化するということは、政治上の理由から金利を経済的な適正水準以下に抑える慣行の終わりを意味する。
それは経済政策の透明化を意味する。
中国の指導者は、人民元の国際化には積極的だが、それが持つ諸々の意味をよくわかっていない。

第3の矛盾。
抑圧的な政府が、年10%で経済が成長している時に国民を満足させるのは楽だ。
そう、これまでのところ、うまくいっている。

しかし、経済のブレーキを踏むことは不人気で、国民を信用しない政府を脅かすものだ。
中国で、ツイッターはブロックされる。
学生は、インターネットの世界が「中国限定」になっていると不満を漏らす。
政府による検閲のせいか、インターネットの速度はどうも遅い。

政府に対して、国民もやり返す。
中国では、外国人の訪問者でさえ、多くの国民が政府を信用していないことに気づく。
北京の清華大学のある大学院生は、サンドイッチを片手に
「指導者が娘に海外の教育を受けさせる国は、何たることだ」
と憤慨する。
これは中国の次期国家主席、習近平副主席を念頭に置いた発言だ。
習近平副主席の娘はハーバード大学での1年目を終えた。

万里の長城はあるものの、ほとんど観光客も訪れない北京から60マイル(約96キロ)ほど離れたところにある村。
その村には、簡素な農家の家が数十軒と、周囲にはそぐわない、大きくそびえたつ3階建ての新築のレンガ造りの家が一軒ある。
村の人々は皆、誰がこれを建てたのか知っている――地元の共産党書記だ。
彼の給与で建てられていないことも周知の事実だ。

基礎に入った亀裂は、必ずしも崩壊の兆しではない。
しかし、それは緊張のしるしだ。
それに対処しなければ、中国ほどの巨大経済であってもその弱体化は避けられない。

記者: DAVID WESSEL  



 『
レコードチャイナ 2011-06-11 05:24:57
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=51958&type=1

歴史上類を見ない“奇怪な大国”
世界最大の経済大国に王手をかける中国が抱える問題―英メディア

英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は「中国を一番に」と題した記事で中国が歴史上類を見ない“奇怪な大国”になろうとしていると論じた。
中国・環球時報が10日付で伝えた。

世界最大の経済大国はすなわち、世界の最富裕国である」。
つまり、その国民は世界で最も豊かである―と、多くの人は何の疑いもなく信じているであろう。
しかし、中国が世界の経済大国として台頭するにつれ、
「国の富=民の富」
という方程式は崩れかけている。
これまでの経済大国と異なり、中国は富と貧困を同時に抱えた国だからだ。
現在、中国の外貨保有高は3兆ドル
しかし国民の平均収入は米国の約10分の1となっている。

中国が世界最大の経済大国となっても、世界最強の国にはなれない理由がここにある。
これまで世界唯一、最強の大国であった米国には実質的な豊かさでは及ばず、国際社会における政治力でも、米国に代わってイニシアチブを握ることはない。
国際連合も、世界銀行も、本拠地を構えるのは米国だ。
世界での影響力、技術力、ソフトパワー…どれをとっても中国が米国を上回ることはないだろう。

19世紀末以来、世界最大の経済大国であった米国。
この事実から、欧米人は
経済大国たるためには民主国家でなければならない
との認識を持っているが、中国はこれにも挑戦することになる。
そして、そこに立ちはだかる大きな難関。
今後も年8~10%成長を維持するために、経済面でも政治面でも従来路線からの方向転換を成功させなければならないこと。
そして、人口問題や環境問題を克服していかなければならないこと。
「中国は新興大国」
「中国は爆発寸前の不安要素を抱える国家」
との両極論を呼ぶゆえんだ。
いずれにせよ、中国は歴史上未曾有の“奇怪な”大国になろうとしているということである。





レコードチャイナ 2011-05-18 10:05:50
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=51379

中国の経済成長、環境や政治が影響し減速へ―シンガポール紙

2011 年5月13日、シンガポールの経済紙ビジネス・タイムズは
「中国はこれからも高い成長を続けられるのか?」
と題した記事を掲載。
経済や環境、政治的な面での問題から今後は成長が減速することが予想され、これまでの30年のような急速な成長は続けられないと指摘した。
16日付で環球時報が伝えた。

トウ小平氏が提唱した中国的な資本主義革命が終わりを告げることはないが、その革命はすでに成長期に終わりを告げ、安定した成熟期にさしかかっている。
輸出と投資によって成長を促すこれまでの経済モデルが古くなりつつあることは中国政府も認識しており、第12次五カ年計画(2011~15年)では多くの新たな試みが提示されている。

しかし、新しい経済モデルの確立は容易ではないと予想されている。
国際貿易における中国のシェアが際限なく拡大し続けるということはあり得ず、負債を抱えた欧米各国が中国製品を買い続けることも限界がある。
また、人民元の切り上げや、投資の収益率も下がっていくことが予想され、中国政府が掲げている今後10年間の平均7%成長も実現できるかどうかは不透明だと記事は指摘している。





レコードチャイナ 2011-04-27 06:22:07
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=50912

中国、2016年に米国を抜き世界一の経済体に―IMF発表

環球網によると、国際通貨基金(IMF)はこのほど、中国経済が2016年に米国を抜き、世界一の経済体になるとの予測を発表した。

IMFは、為替レートの変動要素以外に、購買力平価の考えを取り入れ分析した。
それによると、中国のGDPは今年の11兆2000億ドルから 2016年には19兆ドルへと増加し、世界全体のGDPに占める割合は18%に。
一方、米国のGDPは15兆2000億ドルから18兆8000億ドル、世界全体のGDPに占める割合は17.7%となり、16年には中国が世界一の経済体になると予測した。

ウォール・ストリート・ジャーナル傘下の金融情報サイト、マーケットウォッチは「各種予想には誤差がつきもの」とし、
「中国経済が米国を追い抜く時期は16年より早くなる可能性も、遅くなる可能性もある」
と指摘。
しかし一方で、
「いずれ米国を超えるのは疑うべくもない」
としている。





レコードチャイナ 2011-04-24 08:31:2
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=50805

中国が「ポスト米国時代」の準備を進めている―韓国メディア

米国の格付け見通しが下がったことを受け、米国債の最大保有国である中国はどう動くのか?
韓国紙・朝鮮日報は
「米国債、中国は売るのか?売らないのか?」
と題した記事を掲載した。
21日付で環球網が伝えた。以下はその内容。

米国債の格付け見通しが「安定的」から「ネガティブ」に下げられたことで、中国の次なる行動に関心が寄せられている。
財政赤字に苦しむ米国にとってみれ ば、切実に中国の助けが必要だろう。
中国は米国債の最大保有国だ。
もし、中国が引き続き米国債を買い続けなければ、米国経済は下り坂になる可能性が高い。

中国は経済の飛躍的な発展に伴い大量の米ドル資産を買い続け、今や3兆ドルの外貨準備を蓄えた金融大国となった。
中国がこの膨大な外貨準備を後ろ盾に買い入れた 
米国債は1兆1541億ドル、全体の8.2%を占める。

ところが、中国も簡単に米国債を手放すわけにはいかない。
米国債を投げ売れば、ドルが暴落し、中国は巨額の損失を被ることになる。
中国の方も米国に弱みを 握られているわけだ。
だが、中国は今、「ポスト米国時代」の準備を進めている。
米国以外の国の国債を増やして外貨運用を多元化させ、人民元の国際化を推進 したい考えだ。

実際、人民元の国際化は急速に進んでいる。
今年第1四半期の中国の対外貿易で、人民元決済が行われた割合は7%、前期比0.5ポイント増。
2年前まではそ の大半がドル決算だった。
特にインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの東南アジア諸国連合(ASEAN)6カ国が人民元決 済に積極的な姿勢を見せている。(翻訳・編集/NN)






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